明治神宮御苑

明治神宮は実は社殿のある、内苑、そして国立競技場のある外苑に分かれていますが、広大な内苑の社殿南側に位置するのが「御苑」といわれる庭園エリア。実は、明治神宮は、江戸時代には熊本藩加藤家下屋敷、そして彦根藩井伊家下屋敷のあったところ。その庭園がルーツの庭が「御苑」というわけです。

明治天皇、昭憲皇太后ゆかりの菖蒲田は、例年6月が見頃

JR原宿駅・東京メトロ明治神宮前駅側から参拝するのが南参道です。南参道を歩くと社殿に至る参道途中左手に御苑東門、御苑北門があります。明治天皇、昭憲皇太后もこの庭を散歩されたという場所です。

江戸時代には藩邸の日本庭園だった場所ですが、明治維新で宮内省の所轄となり、「代々木御苑」となりました。
苑内には隔雲亭(かくうんてい)、お釣台、四阿(あずまや)などが配されています。

御苑には有名なパワースポットでもある「清正井」を源流にした南池という池があり、「清正井」と池の間が菖蒲田(しょうぶだ)。
明治26年に明治天皇が昭憲皇太后のために植栽を命じたという菖蒲田で、例年6月に150種1500株の花菖蒲が見頃となります。

品種は松平定朝(まつだいらさだとも)の菖翁花(しょうおうか)など、江戸系の品種が中心です。

明治神宮の祭神は明治天皇と昭憲皇太后。つまり、祭神である天皇、皇后が愛された花なので、今でも大切に育てられているというわけです。

美しい森は実は壮大な実験による「人工の森」

明治神宮の鎮守の森は、神宮が鎮座するまでは南豊島御料地(皇室の所有地)。
荒れ地のような状況だった土地に、「永遠の森」を目指した壮大な計画のもと、大正4年から造営工事を開始。植樹される木は全国からの奉納で、365種10万本にも及びました。

そして11万人にもおよぶ青年団の勤労奉仕により木々は植栽され、椎・樫などの照葉樹を中心にして、多様な樹種を多層に植栽することで、年月を経て自然淘汰されて極相林(遷移の最終段階で見られる平衡状態)となるという計画だったのです。

日光東照宮のような杉林をイメージしていた時の内閣総理大臣・大隈重信は「神宮の森を薮(やぶ)にするのか」と強く反対したのですが、関東ローム層では満足に杉は育たないことなどから、当時の林苑関係者は断固としてその意見に反対し、今の見事な森が生まれたというわけなのです。

当初365種だった木は、今では種類も淘汰が進んで246種類。本数は12万本から17万本に増えているのです。
鎮座50年を機に境内の樹木の調査を行なったところ、わずか半世紀で自然の状態になっていることが確認されているそうです。

東京に残る貴重な森だということがよくわかります

■明治神宮の「宮」の正式な表記は「宮」の「呂」の部分に中間の縦線が入らない口がふたつです。技術的表示が困難なため、宮を代用しています。

 

明治神宮御苑
名称 明治神宮御苑/めいじじんぐうぎょえん
所在地 東京都渋谷区代々木神園町1-1
関連HP 明治神宮公式ホームページ
電車・バスで JR原宿駅から徒歩7分。東京メトロ千代田線明治神宮前駅から徒歩8分
ドライブで 首都高速外苑ランプから約1.7km
駐車場 65台/無料、12月31日〜1月3日は利用不可
問い合わせ 明治神宮社務所 TEL:03-3379-5511/FAX:03-3379-5519
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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