回転寿司などで近年、人気のネタはサーモンですが、江戸前の寿司屋で「サーモン」を頼むと笑われてしまうのだとか。江戸前の代表格は、コハダ(小肌)とアナゴ(穴子)。ともに寿司職人の丁寧な仕事と技が要求されるネタということに。加えてマグロですが、こちらはクロマグロの漬け。これが代表3種です。
マグロが江戸前に加わったのは江戸時代後期


江戸時代、江戸前寿司のネタの代表格は、コハダ。
出世魚として有名なコノシロの幼魚で、腐りやすいので酢締めにして味わう方法が生み出されますが、身が柔らかく小骨が多いため、職人の技術と丁寧な仕事が要求されるのです。
そのため「コハダは江戸前の寿司屋の心」、「鮨はコハダに止め刺す」というほどで、このコハダの味が店の売りにもなっていたのです。
晩春から初夏(5月〜7月頃)に旬を迎える江戸前のアナゴは、江戸時代後期には品川沖などで産していました。
もともと江戸湾には大川、多摩川などの河川が流れ込み、アナゴの生育として最高の環境だったのです。
天ぷらなどにもなるアナゴですが、口の中でとろけるように煮るのが職人の技。
ツメと呼ばれる煮詰めたタレを塗って食するのが定番ですが、ヌメリをしっかり取り除き、丁寧に煮て、さらにツメを作り上げるという作業から、「おいしい寿司屋はアナゴでわかる」とツウにいわしめるほどで、こちらも江戸前の定番です。
マグロが江戸前寿司のネタに加わったのは、江戸時代の後期のこと。
天保3年(1832年)、近海でクロマグロが穫れすぎていたため、当初は農業用に肥料にしていましたが、一部を寿司用に転用したのが始まりです(寿司ネタとしては敬遠されていました)。
当初は漬け(ずけ)にして味わったというもの。
1日1万匹も揚がった近海マグロは、処理しきれないので、安売りされていたのです。
このマグロに目をつけたのが、江戸前の握り寿司考案者・華屋与兵衛(はなやよへえ)で、野田の醤油を使って漬けにして、見事にマグロを江戸前寿司のネタに加えたのです。
文政7年(1824年)に「華屋」を開業しているので、ちょうどその頃にマグロが江戸湾に押し寄せていたのがきっかけです。

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