国立天文台・太陽分光写真儀室(太陽塔望遠鏡・アインシュタイン塔)

国立天文台・太陽分光写真儀室(太陽塔望遠鏡・アインシュタイン塔)

東京都三鷹市、国立天文台三鷹キャンパスにある昭和5年築の建物が、国立天文台・太陽分光写真儀室(太陽塔望遠鏡・アインシュタイン塔)。アインシュタインの相対性原理の検証を主目的として建てられたことから、アインシュタイン塔と呼ばれています。国の登録有形文化財に指定。

塔全体が望遠鏡の筒の役割を担った異色の塔

東京帝国大学営繕課が設計した建物は、鉄筋コンクリート造り、地上5階、地下1階。
当初の目的は、ベルリン郊外にあったポツダム天体物理観測所のアインシュタイン塔(1924年築)と同様に、アインシュタインの相対性原理の検証を目的しとして建設。
重力によるスペクトルが変化するアインシュタイン効果を検証するために)

観測室を頂部にもつ塔状の外観で、内部は建物と絶縁された機械室が上部まで続き、さらに機械室の周囲に階段と準備室が配されています。

塔全体が望遠鏡の筒の役割を担っているので、塔望遠鏡とも呼ばれ、黒点の磁場観測、太陽フレアの観測、太陽の自転の測定、太陽光スペクトルの研究が行なわれていました。

通常は非公開ですが、特別に公開されることがあります。

ちなみに、国立天文台三鷹キャンパスには、国立天文台太陽分光写真儀室(太陽塔望遠鏡・アインシュタイン塔)のほか、大赤道儀室、第一赤道儀室、レプソルド子午儀室(子午儀資料館)、ゴーチェ子午環室、ゴーチェ子午環第一子午線標室、ゴーチェ子午環第二子午線標室、旧図庫及び倉庫(旧図書庫)、門衛所、表門と合計10ヶ所にもわたる国の登録有形文化財があり、大正デモクラシーを背景としたアカデミックな世相を背景に建てられた建築物が残されています。

ドイツと日本、2ヶ所築かれたアインシュタイン塔とは!?

アインシュタイン(Albert Einstein)は、一般相対性理論によって(1)水星の近日点の前進、(2)太陽の重力場による光線の湾曲、(3)重力場による光の赤方偏移という3つの効果を予測し、アインシュタイン効果と呼ばれています。
太陽の縁をかすめる光線は約1.74秒角(1.″74)のだけ内側に曲げられるというアインシュタインの予想は、1919年(大正8年)、アフリカ~南米での皆既日食の観測で、エディントン率いるイギリス観測隊がほぼ理論の予言に近い値を確認しています。
さらに1922年(大正11年)、オーストラリアでの日食の観測で、カリフォルニア大学リック天文台長・キャンベル(William Wallace Campbell)が率いるアメリカの観測隊が、縁付近でのズレの値(1.″74)だけでなく、太陽からの距離に反比例する依存性までも一般相対性理論の予想とほぼ一致する結果をえたのです。

こうして一般相対性理論はほぼ科学界における認知を受けるに至り、第一次大戦直後、ヨーロッパ社会に虚脱感が広がる中で、アインシュタインブームが世界的に巻き起こったのです。
ドイツと日本では、スペクトル線のアインシュタイン効果の検出を目的に、アインシュタイン塔が建設され、三鷹の東京天文台には、ツァイス社の製作によるドイツと姉妹的な太陽塔望遠鏡が設置されています。

太陽塔望遠鏡は、5階屋上のドームにドイツ・ツァイス製の口径60cmの2枚のガラス製の平面鏡を持ったシーロスタットを備え、太陽光を望遠鏡の鏡筒の役目をする塔内に導きます。
太陽塔望遠鏡シーロスタットは、太陽の分光観測に活躍し、日本の天体物理学を牽引してきました。

残念ながら本命の重力赤方偏移ではとくに成果はなく、現在では太陽分光写真儀室となっているのです。

太陽塔望遠鏡シーロスタット
太陽塔望遠鏡シーロスタット
国立天文台・太陽分光写真儀室(太陽塔望遠鏡・アインシュタイン塔)
名称 国立天文台・太陽分光写真儀室(太陽塔望遠鏡・アインシュタイン塔)/こくりつてんもんだい・たいようぶんこうしゃしんぎしつ(たいようぼうえんきょう・あんしゅたいんとう)
所在地 東京都三鷹市大沢2-21-1
関連HP 国立天文台公式ホームページ
電車・バスで JR武蔵境駅から小田急バス狛江駅北口行きで15分、天文台前下車
ドライブで 中央自動車道調布ICから約2km
駐車場 見学者用駐車場(54台/有料)
問い合わせ 国立天文台 TEL:0422-34-3600
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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