知られざる東京
酒井正人(プレスマンユニオン理事)
【知られざる東京】 東京タワーは紅白じゃなく、オレンジと白!
一般に東京タワーは紅白のツートンカラーと思われがちですが、実は、航空法施行規則第132条の3(昼間障害標識の種類及び設置基準)で「黄赤」と呼ばれるインターナショナルオレンジ( #FS 12197)で塗装されています。航空法で定められた色で、日中でも飛行機やヘリが視認しやすい鮮やかなオレンジとなっているのです。
大展望台から上部は、白と黄赤で7等分に塗り分け
航空法第51条の2第1項(昼間障害標識)によって、地上から60m以上の高さがある建造物に対し、「昼間障害標識」または「航空障害灯」の設置が義務づけられていて、当然、高さ333mという東京タワーもこの対象に。
(「昼間において航空機からの視認が困難であると認められる煙突、鉄塔その他の国土交通省令で定める物件で地表又は水面から六十メートル以上の高さのものの設置者は、国土交通省令で定めるところにより、当該物件に昼間障害標識を設置しなければならない」)
さらに航空法施行規則(第百三十二条の三・昼間障害標識の種類及び設置基準)で、「最上部から黄赤(注/インターナショナルオレンジ)と白の順に交互に帯状に塗色すること」と定められています。
「昼間障害標識」と呼ばれるこのインターナショナルオレンジと白のツートンの塗装が、「紅白のツートンカラー」と思われている東京タワーの塗装です。
正確にいえば、現在の東京タワーは、航空法施行規則に従い、大展望台は白く塗られ、大展望台より下の部分は黄赤、大展望台から上部は、白と黄赤で7等分に塗り分けられているのです。
平成8年以前は、大展望台が黄赤、昭和61年以前は大展望台から上部も7等分ではなく11等分の塗り分けだったので、じっくり見てきた人は、その違いに気がついた人もいるかもしれません。
現在も7年周期で塗り替えが行なわれ、常に鮮やかなインターナショナルオレンジが保たれています。
東京タワーはインターナショナルオレンジに塗装されているのに対し、東京スカイツリーは、なぜかオレンジの塗装はありません。
高さ634mの東京スカイツリーは、日本の伝統色である「藍白」(あいじろ)をベースにした「スカイツリーホワイト」という白磁のようにかすかに青みがかった白に塗られており(展望台はガラスとメタリック色のパネル)、インターナショナルオレンジではありません。
かすかに青みがかった白は、青い空に映え、より鮮やかな印象を与え、鮮やかな白の頂部は青い空を指し示して先進性と未来を表すという理由で「スカイツリーホワイト」が採用されているのです。
実は、タワーに「高光度航空障害灯」を設置し、日中でも点灯させることで、オリジナルの色に塗装しているのです。
昼間障害標識の設置には、「高光度航空障害灯又は中光度白色航空障害灯を設置するものを除く」という規定があり、高さ100m、200m、285m、375m、464m、540m、634mの場所に設置された航空障害灯が白の閃光を発することで、インターナショナルオレンジの塗装を避けることができるのです。
東京タワー、そして東京スカイツリーに近接する機会があったなら、この黄赤VS白というカラーリングにもぜひ、注目を。
【知られざる東京】 東京タワーは紅白じゃなく、オレンジと白! |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
この記事が気に入ったら
いいねしよう!
最新記事をお届けします。
-
東京駅・動輪の広場
東京都千代田区丸の内1丁目、東京駅丸の内南口、地下1階の丸の内地下南口改札前(改札の外側)にあるのが、動輪の広場。かつて東海道線を走っていたC62-15型蒸気機関車の動輪(直径1m75cm)が3つ並んでシンボルになっています。銀の鈴とともに東京駅を代表する待ち...
カテゴリ: 千代田区, 東京の待ち合わせ場所, 見る
-
東京の廃線跡を歩こう! 全12線
東京都内には、小河内ダム建設の資材を運搬した東京都水道局小河内線(水根貨物線)、武蔵野競技場への中央線の支線、米軍立川基地への引込線、そして陸軍の軍用鉄道、都電の専用軌道など数多くの廃線跡が残されています。散策に絶好、あるいは散策途中に見学できる12線を紹介し...
カテゴリ: NEWS&TOPICS
-
大仏パゴダ(上野大仏)
上野公園に建つ、明治5年創業の西洋料理の草分け上野精養軒。その近くにあるのが大仏パゴダ。関東大震災で崩れ落ちるまで、この大仏山と称する地には大仏が鎮座していました。現在では薬師仏を祀るパゴダ様式の祈願塔と志納所があり、大仏の顔面部のみ保存展示され、「これ以上落...
カテゴリ: 台東区, 見る
-
野川の桜並木|調布市
東京都調布市を流れる多摩川水系多摩川支流の一級河川、野川(のがわ)。国分寺市を源流とする野川ですが、調布市内の御塔坂橋(武蔵境通り)〜榎橋(三鷹通り)〜細田橋の間には、両岸にソメイヨシノが植栽され、開花シーズンには両岸の歩行者・自動車専用道を歩けば、お花見を楽...
カテゴリ: 東京の桜, 見る, 調布市
-
東京三大タワーとは!?
東京には数多くの展望台がありますが、塔状の高層建築物をタワー(tower)と定義するならば、東京スカイツリー、東京タワーは、東京の二大タワー。もうひとつ、江戸川区にある公共施設、タワーホール船堀の船堀タワー(無料)を加えて、東京三大タワーと呼ばれています。 東...
カテゴリ: NEWS&TOPICS
-
第93回早慶レガッタ|2024
2024年4月21日(日)、東京都台東区、隅田川の新大橋上流から桜橋上流で、『第93回早慶レガッタ』が開催されます。明治38年に隅田川向島にて第1回大会が開催された歴史ある大会で、昭和53年に復活。新大橋上流(浜町公園付近)から桜橋上流まで、3750mのコース...
カテゴリ: イベント, 台東区
-
上野恩賜公園・不忍池ボート場
東京都台東区、上野恩賜公園の不忍池(いのばずのいけ)にあるのが、不忍池ボート場。不忍池は、弁天島を中央に、北側の鵜の池、ハスが茂る南側の蓮池、西側(不忍通り沿い)のボート池に分かれています。ボート乗り場はボート池の弁天島側にあり、不忍池辯天堂から橋でつながって...
カテゴリ: 台東区, 遊ぶ
-
奥多摩湖・麦山の浮橋(ドラム缶橋)
東京都西多摩郡奥多摩町、奥多摩湖の湖上にあるのが麦山の浮橋(ドラム缶橋)。昭和32年に完成した小河内ダムによって出現した人造湖が奥多摩湖。奥多摩湖にはダム建設時に水没した道の代替として設置された2ヶ所の浮橋があり、そのうちのひとつ麦山の浮橋は、ドラム缶橋として...
カテゴリ: 奥多摩町, 東京の橋, 見る
-
長池見附橋(旧四谷見付橋)
東京都八王子市、多摩ニュータウンの長池公園にある長池見附橋(旧四谷見付橋)は、国道20号(新宿通り)の、JR中央線四ツ谷駅上に架けられていた跨線道路橋(こせんどうろきょう)。大正2年に竣工した橋長37m、幅員22mの道路橋で、鉄製アーチ橋としては現存する日本最...
カテゴリ: 八王子市, 東京の橋, 見る
-
東京水辺ライン両国発着場
都立公園を管理する東京都公園協会が運航する水上バスが「東京水辺ライン」。両国発着所をメインポートにして、浅草(二天門)からお台場海浜公園を結ぶ「浅草・お台場クルーズ」、葛西臨海公園まで足を伸ばす「葛西・浅草クルーズ」、そして葛西臨海公園とお台場海浜公園を結ぶ「...
カテゴリ: 墨田区, 見る, 遊ぶ