【地図を旅する】東京にもあった県境未確定の地(江戸川区・旧江戸川河口)

東京にもあった県境未確定の地(江戸川区・旧江戸川河口)

令和4年の『全国都道府県市区町村別面積調』によれば、全国で県境の未確定な場所は17ヶ所。そのなかで最多の3ヶ所が東京都との境界問題で、東京都は全国TOPの境界未確定都道府県に。東京ディズニーリゾートの横、江戸川の河口部分は舞浜地区の埋め立てで生まれた東京湾の領土問題です。

旧江戸川河口から羽田空港沖へと伸びる未確定の境界線

東京にもあった県境未確定の地(江戸川区・旧江戸川河口)

旧江戸川河口の江戸川区側には葛西臨海公園があり、東京湾沿いには人工の渚が広がっています。
旧江戸川の対岸には東京ディズニーリゾート(Tokyo Disney Resort)がありますが、実は葛西臨海公園とTDRを隔てる旧江戸川には境界線が定まっていません。

国土地理院の2万5000分の1地形図を見ていただくとよくわかるのですが(TOPの画像)、旧江戸川河口部の東京都と千葉県の境界線は舞浜大橋で途切れ、舞浜大橋から南は、境界線が引かれていません。
本来なら県境に位置するのが河川であれば、その中央が境界線となるはず。
舞浜大橋までは、川の中央に境界線が引かれているのに、橋でプツリと切れ、その先がないというのは実に不思議です。

東京都と千葉県によれば、「旧江戸川の河口から東京湾上は境界線が未確定」とのことで、係争地が東京湾上にものびていることがわかります。

千葉県によれば、「かつて江戸川は東京湾に多量の土砂を運び込み、河口部に干潟を形成。江戸川沖の東京湾は、江戸時代に江戸前のボラ、マイワシ、クロダイ、マコガレイ、シロギス、そして今では絶滅に瀕しているアオギスの漁場となり、明治時代からは海苔の養殖が行われていた場所」だったとか。

戦後、東京近郊の都市化が進み、東京湾の環境が悪化し漁獲高は減少、漁業衰退を背景にして昭和39年には現在、東京ディズニーリゾートが展開する舞浜地区を含む第1期の埋め立て工事が開始されたのです。

東京都と千葉県の境界論争が始まったのは、埋め立てに先立つ昭和36年のこと。
昭和46年に地元漁協は漁業権を全面放棄し、浦安の漁業は終焉したのですが、逆に新しく生まれたのが境界問題。
東京都と千葉県は、埋立工事の始まった昭和39年、暫定的に旧江戸川の河口から南西方向に延ばした線が港湾管理限定の境界線であることに合意しました。
これが関係者の語る「39年合意線」です。
江戸川の流れの延長線に合わせて西南西に傾いて伸びる境界線が、この「39年合意線」。
千葉県は、当然ですがこの港湾管理限定の「39年合意線」を千葉県と東京都の境と主張しています。

対する東京都は、西南西ではなく、まっすぐ南に伸びる線を引いて境界線にすると主張。
つまり「39年合意線」(千葉県)VS「真南線」(東京都)という構図が生まれたのです。
漁業権の失われた海なのに、何が問題と思われるかもしれません。

これも東京都などに確認すると、「千葉県袖ケ浦市(東京ガス袖ケ浦工場)と東京都江東区(東京ガス陸揚ガバナステーション)を結んで、東京湾に東京ガスのパイプライン(海底幹線)が敷設される際に(昭和52年12月28日稼働)、境界線が明確でないと正しい固定資産税の算出ができない」などの問題が生まれ、昭和58年の自治大臣・山本幸雄による暫定措置で、「39年合意線」と「真南線」の「中間ライン」を税収を目的とする暫定的な境界線に定めるという苦心の裁定を生み出したのです。

問題はそれだけにとどまりません。
平成22年に供用が開始された羽田空港(東京国際空港)のD滑走路は、東京港に突き出すように東西に伸びる滑走路だったため、その東端(地上部分の滑走路ではなく海面下の構造物の一部)が、千葉県の主張する「39年合意線」の延長線にひっかかり、「羽田空港の一部は海中ながら千葉県」という不思議な事態が生じたのです。
この珍妙な境界線問題もひとまず「確認書」を交わすことで解決を先送りに。

海上の境界問題ですが、税収にも関わるため、両者、譲ることはできない問題で、当面は棚上げが続きそうです。

東京にもあった県境未確定の地(江戸川区・旧江戸川河口)
【地図を旅する】vol.5 東京にもあった県境未確定の地(江戸川区・旧江戸川河口)
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