文京区
プレスマンユニオン編集部
神田上水懸樋跡
東京都文京区、神田川の中央本線が走る対岸(北岸)、文京区立元町公園近くにあるのが、神田上水懸樋跡(かんだじょうすいかけひあと)。江戸時代、東京の水道だった神田上水が神田川を越える施設が懸樋で、木樋(木製の水道管)と木橋、石樋(石製の水道管)で神田上水が神田川を越えていました。
神田上水が神田川を渡る水道橋があった地
現代の水路橋(水道橋)が、江戸時代の懸樋(掛樋・かけひ)。
神田上水は、玉川上水(多摩川/羽村〜四谷)、本所上水(元荒川/瓦曽根溜井・かわらぞねためい〜本所)、青山上水(玉川上水から分水/四谷大木戸〜青山〜芝)、三田用水(玉川上水から分水/下北沢村〜目黒〜三田)、千川上水(玉川上水から分水/境橋〜西巣鴨)とともに「江戸の六上水」のひとつですが、徳川家康の関東移封とともに開削されたのが神田上水(小石川上水)で、玉川上水とともに江戸時代を通して使われた上水です。
千代田区側(南岸)の神田上水懸樋の袂(たもと)は中央本線が走っているため立ち入りは不可。
文京区側(北岸)には神田川沿いの遊歩道に石碑が設置され、文京区本郷にある「東京都水道歴史館」(神田上水懸樋跡から徒歩10分、本郷給水所公苑横)では、神田上水懸樋のことも詳しく解説されています。
神田上水懸樋跡のすぐ西側に水道橋駅がありますが、水道橋とは、神田上水懸樋のこと。
万治年間(1658年〜1661年)、長さ33m60cm、内寸は幅181cm、深さ15cm、銅張葺き屋根に架け替えられ、以降は万年橋とも呼ばれるようになっていました。
神田上水とは!?
神田川上水は、井の頭池(現・井の頭恩賜公園の湧水池/武蔵野市)、善福寺池(現・善福寺公園の湧水池/杉並区)、妙正寺池(現・妙正寺公園の湧水池/杉並区)を水源にし、ホテル椿山荘東京庭園のある現・文京区関口あたりの堰で分水し(余水は神田川に放水)、小日向台、水戸徳川家上屋敷邸内(小石川後楽園)を経て、神田上水懸樋で神田川を越え、神田川を越えたところで地中埋設された埋樋となって江戸市中に給水されました。
給水される範囲は、北は神田川、南は京橋川、東は永代橋から大川(隅田川)以西、西は大手町から一橋外まで。
最初に神田界隈の武家地に、次に日本橋などの町人地に供給され、防火用水としても使われていました。
神田川上水が供給されるエリアは、井戸を掘っても良質の水が得られない場所で、コレラなどの疫病万延防止対策としても神田上水は有益で、徳川家康の先見性がよくわかります。
歌川広重の『東都名所 御茶之水之図』に描かれた絵には、万年橋となった橋の下にのどかに釣りをする人の姿が描かれ、上流の飯田濠へ物資を運ぶ荷船、さらには上流側にかつての神田上水懸が描かれていますが、その場所が、今の水道橋駅あたりとなります。
神田上水懸樋跡 |
名称 |
神田上水懸樋跡/かんだじょうすいかけひあと |
所在地 |
東京都文京区本郷2-3地先 |
|
電車・バスで |
JR・都営地下鉄水道橋駅から徒歩5分 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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