東京都三鷹市と武蔵野市にまたがる都立公園が、井の頭恩賜公園(いのかしらおんしこうえん)。大正2年5月1日、日本最初の郊外公園として開園。神田上水の水源、神田川の源流ともなる湧水池の井の頭池を中心に、武蔵野の面影を残す公園で、日本さくら名所100選にも選定。
江戸時代には将軍家の鷹場、神田上水の水源だった地
江戸時代には、将軍家の鷹狩に使われた鷹場で、江戸に入府した徳川家康が、井の頭池(江戸時代以前は、狛江の池、湧水が7ヶ所あったことから七井の池と通称)の畔に湧く、湧水に着目し、神田上水を開削したと伝えられています。
源頼朝が中興したという井の頭弁財天(別当は天台宗大盛寺)は、中世に荒廃していたものを3代将軍・徳川家光が再興。
江戸の商人や歌舞伎役者にも信仰され、神田川上水の源流ということもあって遊興の地にもなったのです。
江戸時代には井の頭池と一帯の林は、水源涵養の意味もあって、幕府御用林として保護されていました。
明治維新後、井の頭弁財天は神仏分離で、石鳥居が撤去され、明治22年、一帯は 宮内省(現・宮内庁)の御用林に。
大正2年12月に東京市に下賜されたので、上野恩賜公園と同様に、恩賜を付けた公園名になっています。
武蔵野の面影が残る公園は、ボート遊びにも絶好!
武蔵野の面影がよく残る場所としても有名な公園で、「井戸の中で一番」(井の頭)から、徳川家光の命名という伝説(『徳川実紀』に鷹狩の記述はありますが、命名説はあくまでも伝説です)もある井の頭池を中心に、雑木林の間をぬうように散策路が設けられています。
春のサクラ並木、秋の紅葉、ウメ、ツツジ、ツバキ、マンサク、水仙など、四季折々の風情を楽しむことができます。
ボート場も昭和4年に開設という歴史あるもの。
野鳥の姿も多く、井の頭池のボート場からボートに乗れば、セキレイやマガモの姿も間近に観察可能。
池の周囲には、縄文時代中期〜後期の竪穴式住居跡3軒、敷石住居跡1軒が発掘され(宅地化が進んみ全貌は明らかでありませんが、縄文時代の住居跡60軒以上、旧石器時代の遺構が発見されています)、井の頭池遺跡群として東京都の史跡に指定(武蔵野台地に見られる湧水池周辺の旧石器・縄文時代の代表的な遺跡)。
豊かな森で、湧き水湧くこの地が、縄文人にとっても快適な環境だったと推測できます。
土・日曜、祝日には井の頭池畔の東側を会場に、『井の頭公園アートマーケッツ』も開催(新型コロナウィルス感染症拡大時には変更あり)。
また通り越しに「井の頭自然文化園」があり、北側の動物園(本園)は、ヤクシカ、イノシシ、ツルの大放飼場、ミニ遊園地、リスの小径、彫刻家・北村西望の作品を展示する「彫刻園」(彫刻館、アトリエ館)、野口雨情の書斎を移築した「童心居」もある動物園で(かつてはアジアゾウの「はな子」で有名でした)、東側の水生物圏(分園)は淡水魚やガン、ハクチョウ、オシドリなどが飼育されています。
園内西側(西園)には、テニスコートや競技場、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』などの映画で有名な宮崎駿監督がプロデュースした「三鷹の森ジブリ美術館」があります。
井の頭恩賜公園 | |
名称 | 井の頭恩賜公園/いのかしらおんしこうえん |
所在地 | 東京都武蔵野市御殿山1-18-31・三鷹市井の頭4-1 |
関連HP | 井の頭恩賜公園公式ホームページ |
電車・バスで | JR吉祥寺駅から徒歩5分 |
ドライブで | 首都高速高井戸ランプから約6.2km |
駐車場 | 60台/有料 |
問い合わせ | 井の頭恩賜公園案内所 TEL:0422-47-6900/FAX:0422-47-9371 |
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