東京国立博物館の公式キャラクター「トーハクくん」のモデル『踊る埴輪』とは!?

踊る埴輪

東京国立博物館(東京都台東区上野公園)の開館140周年記念で誕生した公式キャラクターが「トーハクくん」。そのモデル(モチーフ)となっているのは、埼玉県熊谷市の野原古墳群から出土した『踊る埴輪』(『踊る人々)。東京国立博物館で常設展示されている人物形象埴輪で、まさに人が踊る姿です。

踊る姿でなく、馬を曳く姿という説も

踊る埴輪

人物形象埴輪には、西洋の人物を思わせるような『顎髯の男子』(あごひげのだんし)など、特異なものもあり、埴輪ファンの心を鷲掴みにしています。
そんな人物形象埴輪のなかでも、東京国立博物館(トーハク)で子どもたちにも人気なのが、『踊る埴輪』。
その微笑ましい姿から、2012年に東京国立博物館(トーハク)の公式キャラクターのモチーフにも採用され、現在ではミュージアムショップでも「トーハクくん」関連グッズが人気となっています。

片手を挙げて踊る人物埴輪(東京国立博物館での展示名は『踊る人々』)は、大きいほうが高さ64.0cm、幅17.0cm、6世紀頃の製造で、顔などはかなりデフォルメされています。
片手を挙げる姿と、腰にぶら下げる鎌から、馬の手綱(たずな)を曳く2体の男子像である可能性も指摘されていて、『踊る人々』から『馬を曳く人』に代わる可能性もあるのだとか。

人物埴輪は、埋葬された首長に関わる何らかの場面を表現したと推測され、踊っているのと、馬を曳いているのとでは大きな違いがあります。
踊る埴輪だとされてきたのは、首長を埋葬後、「死者の復活を願う儀式での踊り」ではないかと考えられたから。

ところが近年、類似の踊るような姿の埴輪が馬形埴輪と一緒に出土する事例が増加し、馬を曳く姿という説が有力になってきたというわけです。
『踊る人々』の熊谷市の野原古墳群からも馬形埴輪が出土しているので、その可能性はさらに高まっりつつありますが、まだ決着がついたというわけではなく、踊る姿という可能性も残されています。

顔などがデフォルメされているのは、古墳時代後期の製造で、埴輪を埋葬する意味合いも薄れ、細部を省くことが多くなったから。
それでも2体のうちの小さい方からは、上げ美豆良(あげみずら)という身分のやや低い男性の髪型を確認できます。

2022年〜2024年には寄付による「踊る埴輪&見返り美人修理プロジェクト」で1年6ヶ月にわたる修理復元も行なわれ、美しい製造当初の姿に蘇っています。
1930年に山林を開墾中に偶然発見されたというこの『踊る人々』、実は下部の円筒部分は当時、石膏で復元されたところが多く、貸出時に壊れてしまう危険性が高まっていたのです。

ちなみに、切手でも有名な『見返り美人』と、この『踊る人々』は、東京国立博物館で人気を分ける二大展示物。
公式キャラクターを選定する際にもライバルだったとのこと。
『見返り美人』にも勝利した人気の『踊る人々』、ぜひ一度、修復された姿を観覧してください。

『踊る埴輪』は他館へ貸し出されることもあるので、『踊る埴輪』が目的の場合は事前に確認を。

東京国立博物館の公式キャラクター「トーハクくん」のモデル『踊る埴輪』とは!?
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東京国立博物館

東京国立博物館

明治5年3月に湯島聖堂大成殿で開催された日本初の「博覧会」を前身とする日本最初の博物館。上野公園の寛永寺本坊跡に煉瓦造2階建の建物が完成し、第2回内国勧業博覧会の展示館として使用された後、明治15年3月20日に博物館の本館となっています。そ

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