下河原緑道（国鉄下河原線廃線跡）

東京都府中市、昭和51年9月に廃線となった国鉄下河原線廃線跡を緑道にしたのが、下河原緑道（しもがわらりょくどう）。国分寺駅〜東京競馬場前駅の旅客線、途中で分岐し、下河原駅までの貨物線があり、廃止後は住宅地と緑道に転用され、廃線跡歩きが楽しめる貴重なスポットになっています。

下河原線広場公園と八幡神社、矢崎町防災公園を結ぶ

下河原線はもともと明治43年、多摩川の砂利を運搬する目的で東京砂利鉄道として開業。
多摩川の増水で運休後の大正5年には陸軍工兵隊が修復して軍用鉄道に転身しますが、大正9年、鉄道省が買い上げて旅客輸送に転用されました。
同時に砂利の運搬も行なわれ、神田駅〜上野駅間の高架鉄道建設（大正14年、上野～秋葉原～神田～東京の区間が高架橋で開通し、山手線の環状運転開始）に使用されています。

昭和8年に東京競馬場の開設に伴って東京競馬場前駅が開業し、そのための旅客輸送が行なわれるようになりました。
昭和48年4月1日、武蔵野線府中本町駅〜新松戸駅間開業に伴い、国分寺駅〜北府中駅〜東京競馬場前駅間（5.6km）廃止。
昭和51年9月20日、武蔵野線貨物支線北府中駅〜下河原駅間（3.8km）廃止。

下河原緑道は、甲州街道沿いにある下河原線広場公園（府中市寿町3丁目）を起点に、八幡神社（府中市南町4丁目）まで廃線跡に整備された遊歩道・自転車専用道です。
緑道の一部には、かつてこの道が鉄道であったことを示す2本のレールが、路面に埋め込まれてモニュメント的に現存。
緑道沿いには、府中市郷土の森博物館、府中市郷土の森公園もあるので、寄り道にも絶好です。
また、途中で東京競馬場方向へと分岐する緑道もありますが、これが東京競馬場前駅までの旅客線で、終点の東京競馬場前駅跡は、矢崎町防災公園に転用されています。

多摩川の砂利運搬を目的にした鉄道の敷設

多摩川の砂利採取は江戸時代から行なわれていましたが、本格化したのは明治時代半ばから。
道路と鉄道の軌道敷に撒くバラストが主体でしたが、関東大震災以降はコンクリートの普及で需要も急増しました。

国鉄下河原線の前身である多摩川砂利鉄道は、明治43年2月24日、専用鉄道免許状下付で、同年に開業という多摩川の砂利輸送のパイオニア的な鉄道です。

続いての開業が、大正5年に調布駅〜多摩川原駅（現・京王多摩川駅）が開通した京王電気軌道多摩川原線（現在の京王電鉄京王線）。
明治43年8月に設立され、大正11年に武蔵境駅〜是政駅が開業した多摩鉄道（現・西武多摩川線）も設立の目的は、「旅客貨物運輸の業を営み併せて砂利玉石石材等の採掘販売」です。
大正9年に設立、昭和2年に川崎駅〜大丸駅間が開業の多摩川砂利鉄道は、現在のJR南武線。

多摩川を起点とする鉄道は砂利運搬を本業、副業にしていたのです。
多摩川の砂利採取は乱獲による川床の低下による用水の不取水などもあり、昭和40年に全面禁止となり、「多摩川の砂利ふるい」（掘削機が導入される以前の砂利採取はすべて人力で行なわれていました＝現金収入をもたらす格好の農家の副業）も地元の博物館で展示される昔語りとなっています。

東京の廃線跡を歩こう！　全12線

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府中市郷土の森公園・国鉄EB10形電気機関車

東京都府中市矢崎町5丁目にある都立公園が、府中市郷土の森公園。公園内にある府中市立交通遊園の西側に静態保存されているのが、国鉄EB10形電気機関車。昭和2年に鉄道省が当時の王子区（現・北区）を走った貨物線に導入した蓄電池機関車AB10形が前

府中市郷土の森博物館

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