荒玉水道道路

荒玉水道道路

東京都杉並区梅里〜世田谷区喜多見の都道428号(高円寺砧浄水場線)の通称が、荒玉水道道路(あらたますいどうどうろ)。道路の地下に荒玉水道の送水管が埋設されている水道道路。送水管が直線的に敷設されているので、道路も東京屈指の直線道路になっています。

7.7kmの直線部分は、23区随一の直線道路

地中にあるのは、多摩川の水を砧(現・東京都世田谷区)の濾過池で濾過後、野方町(中野区)を経由し板橋町の大谷口(板橋区)に送水するために敷設された荒玉水道(昭和7年に東京市の水道に移管)の送水管で、野方給水場(中野区のみずのとう公園内に旧野方配水塔が現存)、大谷口給水場(現・大谷口給水所)が設置。

大正12年当時、豊多摩・北豊島両郡の給水予定区域の人口は 、41万7770人でしたが、昭和11年に60万人に増加すると推定していました。

砧浄水場から径1.1mの鉄管を17kmにわたって埋設しています。
水道道路と呼ばれるように、車両の通行ができるようになったのは昭和37年のこと。
水道本管保護のため、4t以上の車の通行は禁止されています。

荒玉水道道路は妙法寺西側・杉並区立堀ノ内三丁目公園前から都道3号(世田谷町田線)のにぶつかる手前の交差点(世田谷区立砧小学校北側)まで、7.74kmにも及ぶ直線道路で、東京23区内では随一の直線道路になっています。
まさに東京23区をたすき掛け(斜めに)で縦断。

さらにその先、世田谷区立喜多見公園前では調布3・4・2号水道道路線(通称:水道道路)と荒玉水道道路がクロスする、全国的にも珍しい水道道路クロスがあります。

東京都では井の頭通りが、東京の水需要の増大を受けて、大正13年に完成した境浄水場と和田堀浄水池(現・和田堀給水所)を結ぶ送水管の上を補強した水道道路で、直線部分は5kmほど。

同様に、玉川上水新水路を埋め立てて造成された道路が東京都道431号(角筈和泉町線/新宿区・杉並区)でこちらも水道道路と呼ばれています。

また、東京都道253号(多摩湖自転車道/東村山市・小平市・西東京市)のうち、「狭山・境緑道」は、村山貯水池から境浄水場へ導水する水道施設の上に築かれた水道道路です。

町田市の緑道「横浜水道みち」も横浜水道道路(東京都町田市・神奈川県相模原市・大和市・横浜市)の一部。

荒玉水道とは!?

明治時代後期から大正時代、東京市周辺の町は、市街化が進み、水不足が顕著になっていました。
明治31年に給水が開始された東京水道(それまで通り玉川上水を導水路として利用し、新設の淀橋浄水場で浄水、本郷給水所、芝給水所から給水を実施)から、コレラ防止などもあって、水道の便利が実感され、上水道待ち望む声も高まったのです。

東京府は大正8年、水道工学の権威、工学博士・中島鋭治に郡部給水計画の調査を委嘱。
東京市が主体となって東京市水道から周辺郡部に給水する方法など、様々な案が検討された結果、東京府は東京市の隣接町村に公営水道敷設の必要性を説いたのです。
東京府は、豊多摩郡長、北豊島郡長に公営水道の意向を打診、これを受けて豊多摩郡長は豊多摩郡内町村に対し、 組合方式による水道創設を諮問しています。

そこで中野町、豊玉町、和田堀町、杉並町、落合町と北豊島郡の板橋町、巣鴨町、瀧野川町、王子町、岩淵町、長崎町、高田町、西巣鴨町の豊多摩・北豊島両郡にある13市町村が参加し、荒玉水道町村組合を結成。

荒玉水道町村組合運営の荒玉水道は、江戸時代から続く旧式の木樋水道を改良し、世田谷の喜多見で多摩川から引水していました。

荒玉とは荒川と多摩川のことで、多摩川を水源とする水道を荒川流域の町まで引水し、放水路が整備 されつつあった荒川を水源とする水道と合流させ、関東大震災後に拡大しつつあった東京西北部の水需要に対応するという壮大な構想に基づいていたのです。
関東大震災後、周辺の町に疎開した東京市民がそのまま定住することもあり、周辺部の人口が増大、組合水道の創設が急務となったのです。
人口増で水不足が生まれた場合は、荒川を水源とする拡張を行ない、北豊島郡赤塚村付近に浄水場を新設し、大谷口配水塔から配水する計画でした。

関東大震災から復興した昭和7年、東京の都市化に伴って東京市域が旧15区から隣接5郡82町村の範囲に拡大したことを受け、周辺町村で独自に経営されていた公営水道も東京市水道に統合されることになり、荒玉水道(野方給水場、大谷口給水場)、江戸川上水町村組合(金町浄水場)、渋谷町水道(駒沢給水塔)、そして民間の水道会社運営の玉川水道(玉川浄水場)が東京水道になっています。

荒玉水道道路
名称 荒玉水道道路/あらたますいどうどうろ
所在地 東京都杉並区梅里〜世田谷区喜多見
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井の頭通り

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荒玉水道道路

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