港区
プレスマンユニオン編集部
旧乃木邸
東京都港区赤坂8丁目、東京メトロ・乃木坂駅近く、乃木坂にあるのが旧乃木邸。乃木希典(のぎまれすけ)は結婚直後の明治12年、ここに移り住み、さらに明治22年、レンガ造りの馬小屋(現存)、そして明治35年、現存する母屋が竣工。大正元年に自刃したもこの邸内で、現在一帯は乃木公園として整備されています
通常は、見学用デッキから外観のみ見学が可能
乃木希典は、明治8年、熊本鎮台歩兵第14連隊長心得に任じられ、明治9年に旧秋月藩士の反乱(秋月の乱)の鎮圧、さらに明治10年には西南戦争に従軍し、激戦となった田原坂の戦いでは負傷、野戦病院に運ばれながらも脱走して戦地に赴くなどの武勇を発揮しています。
明治11年1月25日、歩兵第1連隊(東京・六本木、現在の東京ミッドタウンの地)の連隊長を命じられますが、10月27日に旧薩摩藩藩医の娘・お七(結婚後に静子と改名)と結婚、新居を構えたのが、現存する旧乃木邸です。
江戸時代、青山霊園を中心とする周辺一帯には美濃国郡上藩青山家の下屋敷があり、当時幽霊坂などと呼ばれた現在の乃木坂の両側には青山組屋敷がありました。
その屋敷跡に新居を建てたのです。
設計を手がけたのは、海軍技師・北沢虎造。
明治時代の邸宅は接客を目的とした迎賓館的な色彩が高いのですが、乃木邸は黒塗りの板張りで飾り気のない外観、極めて簡素かつ合理的な邸内と、堅実な日常生活のための軍人らしい建物です。
大谷石を積み上げて造られた地階を有しています。
主屋のまわりを取り囲んでいる見学用デッキは、関東大震災をきっかけに、それまで内部見学を行なっていたものを外部からのみ見学する形式に改めて、設置されたもの。
文化財保護の観点から邸内は年3回ほど一般公開が行なわれ、公開時には乃木家の貴重な遺品の展示も実施。
乃木公園は9:00~16:00なら自由に入園できます。
乃木希典は、日清戦争では歩兵第1旅団長として従軍し、旅順を占領。
明治29年、第3代台湾総督に就任、明治37年、陸軍大将へ昇進。
日露戦争では第3軍司令官として旅順攻略を指揮しますが、二〇三高地の奪取が困難を極め、多大な被害を生んでいます。
日露戦争後は、軍事参議官となり、明治40年から明治天皇の意を受けて学習院の院長を兼任しています。
大正元年9月13日、明治天皇大喪の日、妻・静子とともにこの乃木邸で殉死。
享年64(満62歳没)。
葬儀には20万人が集まり、その後、軍神として祀られ、各地に乃木神社が建立されています。
乃木希典の死後、遺言により、土地と建物(現在の旧乃木邸)は東京市に寄付され、大正2年からは東京市が管理。
大正4年から一般に公開されるようになり、見学者用に歩廊が東、南面に設けられました。
その後、昭和25年に港区に移管され、現在に至っています。
司馬遼太郎原作のNHKドラマ『坂の上の雲』では、柄本明が乃木希典を演じています。
司馬遼太郎は、旅順攻略の際の甚大な被害から乃木希典を「愚将」、「戦下手」などと評価していますが、乃木希典でなければわずか半年での旅順攻略は成し得なかったという考えもあります。
旧乃木邸近くにある乃木希典を祭神とする乃木神社は、人気女性アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーが神社に初詣などを行なうのが恒例で、ファンの間では「聖地」とも称されています。
地階部分は大谷石造り
旧乃木邸 |
名称 |
旧乃木邸/きゅうのぎてい |
所在地 |
東京都港区赤坂8-11-32 |
関連HP |
高橋是清翁記念公園公式ホームページ |
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電車・バスで |
東京メトロ乃木坂駅から徒歩1分 |
駐車場 |
周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ |
高橋是清翁記念公園管理事務所 TEL:03-6384-5113/FAX:03-6384-5116 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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