東京さくらトラム(都電荒川線)

東京さくらトラム(都電荒川線)

三ノ輪橋停留場(東京都荒川区)と早稲田停留場(新宿区)を結ぶ全長12.2kmの路面電車が東京さくらトラム(都電荒川線)。王子電気軌道が前身で、専用軌道部分が多いことから奇跡的に残った都電で唯一の路線で、都内の路面電車が都電荒川線と、東急世田谷線の2路線のみとなっています。

都電で唯一現存する区間が荒川線

東京さくらトラム(都電荒川線)

東京さくらトラム(都電荒川線)の軌間1372mm(4フィート6インチ)は、都電のルーツとなる東京馬車鉄道が明治14年の開業時に採用した軌間のため、馬車軌間とも称されています。
在来線の狭軌(1067mm)よりも広く、新幹線などに採用され世界的に主流の標準軌(1435mm)とも異なる、標準軌の確立前に、19世紀初期のスコットランドのラナークシャー地方の鉄道で採用されたスコッチゲージ(Scotch gauge)、つまりは明治初期にイギリスからもたらされた独特の軌間です。
国内では、東京さくらトラム(都電荒川線)のほか、京王電鉄(井の頭線を除く)、都営地下鉄新宿線、東急世田谷線、函館市電でのみ採用される軌間です。

明治44年8月20日、王子電気軌道が飛鳥山上(現・飛鳥山)〜大塚を開業したのが始まり、大正2年4月1日に三ノ輪(現・三ノ輪橋)〜飛鳥山下(現・梶原)を開業、大正4年4月17日、王子〜飛鳥山が開業しています。
昭和17年2月1日、戦時下の電力統制と交通統制で東京市に事業譲渡され(王子電気軌道は清算)、東京市電に。
さらに昭和18年7月1日、都制施行で都電になりました。

昭和47年11月12日、王子駅前〜赤羽が廃止され、東京さくらトラム(都電荒川線)のみが残りました。
ピーク時には40路線あったという東京市電(東京都電)も今ではこの荒川線のみとなっています。
東京さくらトラムは、平成29年4月28日に発表された都電や沿線の魅力を国内外に広くアピールするための愛称で、英語表記も「Arakawa Line」から「Tokyo Sakura Tram」に変更されています。

全長12.2kmのうち、道路を走る併用部分は王子駅〜飛鳥山、小台〜熊野前(車道と区分)の1.7km(全区間の14%)のみで、完全に併用されるのは王子駅〜飛鳥山のみとなっています。

車掌による発車時安全確認後、ベルを2回鳴らすのして運転手に伝えることから「チンチン電車」の愛称が生まれていますが、ワンマン化された現在も「2連打ベル制御器」が搭載され、昔ながらのイメージを踏襲しています。
「前乗り・後降り」方式で前線均一料金。
「都電一日乗車券」、「都営まるごときっぷ」(以上は車内発売あり)、「東京フリーきっぷ」などが発売されています。
「東京フリーきっぷ」は、王子駅・大塚駅などJR線の東京都区内各駅でも販売。

運行される車両のうち、9000形は、昭和初期の東京市電をイメージしたレトロ車両です。

東京さくらトラム(都電荒川線)
名称 東京さくらトラム(都電荒川線)/とうきょうさくらとらむ(とでんあらかわせん)
所在地 東京都荒川区・北区・豊島区・新宿区
関連HP 東京都交通局公式ホームページ
問い合わせ 東京都交通局荒川電車営業所 TEL:03-3893-7451
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
東急世田谷線

東急世田谷線

東京都世田谷区、三軒茶屋駅と下高井戸駅を結ぶ東急電鉄の軌道線が東急世田谷線。都電荒川線(東京さくらトラム)とともに東京都内に残る貴重な軌道線ですが、道路の上を走る併用軌道はなく、全線が専用軌道となっています。全長5.0kmで、軌間は馬車軌間

都電おもいで広場

都電おもいで広場

東京都荒川区西尾久8丁目、東京都交通局荒川電車営業所(荒川車庫)内に平成19年5​月にオープンした広場が都電おもいで広場。懐かしい都電の停留場をイメージしたスペースに、昭和29年製造の5500形(5501号車)、昭和37年製造の旧7500形

三ノ輪橋停留場

三ノ輪橋停留場

東京都荒川区南千住1丁目にある東京さくらトラム(都電荒川線)の起終点となる停留場が三ノ輪橋停留場。大正2年4月1日、王子電気軌道(都電荒川線の前身)の停留場として開業した歴史ある停留場で、都電では唯一、関東の駅百選にも選定される停留場です。

東京さくらトラム(都電荒川線)

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