台東区
プレスマンユニオン編集部
鷲神社
東京都台東区千束3丁目、酉の市(とりのいち)で知られるのが、鷲神社(おおとりじんじゃ)。日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の際、戦勝を祈願したと伝える古社で、浅草酉の市の発祥の地。今でも11月酉の日に行なわれる『酉の市』では熊手を求めて多くの人で賑わいます。
「おとりさま」として親しまれる古社で酉の市は有名
武蔵国南足立郡花又村(現・東京都足立区花畑)にある大鷲神社が酉の市発祥の地とされていますが、江戸時代後期に、浅草・吉原という地の利を活かして多くの人を集めたのが、鷲神社。
神仏習合の江戸時代には、酉の寺・長國寺(ちょうこくじ)を別当に、現在長國寺に祀られる鷲の背に乗る妙見菩薩が本地仏(神である鷲大明神の本来の姿)とされていました。
花畑の大鷲神社・正覚院(足立区)を「上酉、本酉」、千住・勝専寺(しょうせんじ)を「中酉」、浅草の鷲神社・長國寺を「下酉、新酉」と称されていました。
鷲神社が建つ一帯は、のどかな田んぼが広がる田園地帯だったため、「浅草田圃の酉の市」と称されていました。
長國寺が吉原の西隣にあたる現寺地に移転したのが寛文9年(1669年)のことなので、南足立郡花又村の大鷲神社から鷲大明神を勧請したのはその頃と推測されます(こうして本酉と新酉の関係が生まれました)。
江戸時代後期の『増補江戸年中行事』(出板元・西村源六)には「十一月酉の日、かさい花又村、大とり明神祭礼、運の神なり。参詣多し。小さき熊手を売る。とうのいものかしら、名物なり。浅草たんぼにも同社あり。酉の日は上中下ともに祭礼なり」と記され、江戸時代後期にはまだまだ田んぼの中での酉の市だったことがわかります。
酉の市の立つ日には吉原の大門(おおもん)のほか、周囲を囲んだ堀に架かる橋もすべて通行が許され、出入りできたことで、さらに発展を遂げたのです。
11月の酉の日は年によって2回、または3回と異なり、一の酉、二の酉、三の酉と数えられています。
正しくは『酉の祭』(とりのまち)で、江戸時代後期の最も詳しい年中行事の解説書である天保9年(1838年)刊の『東都歳事記』(齋藤月岑編)にも「酉の祭(まち)。酉のまちは酉のまつりの縮語なり。酉の町と書けるは拠なし。また酉の市ともいふ」と記されています。
また「三の酉まである年には、火事が多い」という戒めまで生まれています。
実際には江戸時代の大火の年が三の酉まである年だという傾向はまったくないので(データ的には大火の年は二の酉まで)、吉原に寄り道する旦那衆を引き止める口実ともいわれています。
祭神は、日本武尊(やまとたけるのみこと)で、武運長久、開運、商売繁盛の神として尊崇されています。
東京下町八社福参りの一社にもなっています。
浅草七福神(矢先稲荷神社・福禄寿、浅草寺・大黒天、浅草神社・恵比寿神、待乳山聖天・毘沙門天、今戸神社・福禄寿、橋場不動院・布袋尊、石浜神社・寿老人、吉原神社・弁財天、鷲神社・寿老人)の寿老人を祀っています。
鷲神社のなでおかめ
『東都歳事記』浅草田圃酉の市、左上の大きな屋根は浅草寺
鷲神社 |
名称 |
鷲神社/おおとりじんじゃ |
所在地 |
東京都台東区千束3-18-7 |
関連HP |
鷲神社公式ホームページ |
|
電車・バスで |
東京メトロ入谷駅、つくばエキスプレス浅草駅から徒歩10分 |
駐車場 |
周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ |
鷲神社 TEL:03-3876-1515 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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