江戸東京たてもの園・子宝湯

江戸東京たてもの園・子宝湯

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・東ゾーンにあるのが、子宝湯(こだからゆ)。下町の風情を楽しむことができるという東ゾーンに移築された昭和4年築の典型的な銭湯建築が、子宝湯で、もともとは足立区千住元町に建っていました。

『千と千尋の神隠し』にインスピレーションを与えた建物

子宝湯
男湯に描かれた風呂絵は富士山

昭和63年まで、墨堤通り東側、千住元町で営業していた銭湯が「子宝湯」。
寺社建築を思わせる豪華な外観は、関東大震災の後に東京で流行した「東京型銭湯」建築です。
関東大震災で、東京の銭湯もほとんどが倒壊。
巨大な銭湯という建物の再建を担ったのは、宮大工が多く、豪華な外観で、復興に向かう街の人々を元気づけたいという願いもあって、美しい唐破風、そして懸魚にもお金をかけた宮造りの銭湯を建てたのです。

各家庭に風呂のない時代、銭湯は町の社交場でもあったことから、昭和4年10月の開業の子宝湯も、主人の出身地石川県から職人を呼び寄せて贅を尽くしたの建物を建てたのです(2万円で銭湯が建つ時代に、4万円かけたという豪華な銭湯)。

昭和30年ころまで、銭湯の経営者は、ハレの場としての非日常性を求めるニーズに応え、競って豪華な建物を建てています。

玄関上の七福神の彫刻も見事ですが、脱衣所の折上格天井(おりあげごうてんじょう)は、中央部を一段高くした格式高い格天井で、大名の居室のような造り。

平成13年に公開された長編アニメーション映画『千と千尋の神隠し』(制作・スタジオジブリ、監督・宮崎駿)では、「映画の設定である『商店街の一角にそびえ立つ銭湯』について、大いにインスピレーションを与えたのは、『江戸東京たてもの園』の『子宝湯』です。ただし、子宝湯の建物自体は「油屋」のように巨大なものではなく、建物のイメージは幾分異なります。」(『ジブリ日誌』2003年1月9日)とあり、主人公・千尋が働く、湯婆婆の「油屋」の参考になった建物ということがわかります。

江戸東京たてもの園・子宝湯
名称 江戸東京たてもの園・子宝湯/えどとうきょうたてものえん・こだからゆ
所在地 東京都小金井市桜町3-7-1 都立小金井公園内
関連HP 江戸東京たてもの園公式ホームページ
電車・バスで JR武蔵小金井駅から西武バス、小金井公園西口下車。または、関東バス三鷹駅行きで江戸東京たてもの園前、小金井公園前、スポーツセンター入口、下車
ドライブで 中央自動車道調布ICから約8km
駐車場 小金井公園第1駐車場(454台/有料)・第2駐車場(114台/有料)
問い合わせ 江戸東京たてもの園 TEL:042-388-3300
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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