東京23区の自然地形の最高峰は、標高25.7mの愛宕山(港区)。愛宕神社の境内に三等三角点があって、自然地形の「山」としては23区の最高峰と認定されています。北区では飛鳥山山頂の位置を表す公共基準点を設置。その標高は25.4mと30cmほど、愛宕山に及ばないものの23区第2の高峰に君臨することに・・・。
徳川吉宗が桜の名所とした飛鳥山は「自然地形の山」
飛鳥山は、武蔵野台地の北東端に位置し、JR京浜東北線や新幹線横の崖線に沿った高台です。石神井川側は掘割となっていて、斜面には飛鳥山モノレール(あすかパークレール)が架けられています。
この掘割部分に、現在は明治通りが通り、都電荒川線も走っていますが、江戸の昔は飛鳥大坂という狭い坂道で難所だったとか。
石神井川による渓谷と飛鳥山。その地形に目をつけたのが、徳川吉宗で、1270本の山桜を植え(ソメイヨシノが開発されたのは幕末で、江戸時代に桜といえば山桜でした)、一大行楽地にしたのです。
明治6年に上野公園、深川公園、芝公園、浅草公園と並び、日本で最初の都市公園として開園した飛鳥山公園ですが、飛鳥山とは名乗るものの、どこに「山頂」があるのか、明確ではありませんでした。
上野公園は寛永寺の子院・塔頭(たっちゅう)の跡地、深川は富岡八幡宮の別当(神仏混淆時代に神社を管理する寺)・永代寺の跡地、芝公園は増上寺の徳川家霊廟や子院・塔頭群の跡地、浅草公園は浅草寺の子院・塔頭群の跡地と、明治初年の神仏分離、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の荒波のなかで誕生した公園です。
北区は、自然地形としては「東京一低い山」とPR
そのなかで、飛鳥山だけは、江戸時代からの「官許の行楽地」だったという、由緒正しき公園。
しかも飛鳥山という自然地形です。「山頂」がハッキリしなかったのも少し情けない話ではあります。
「飛鳥山の標高はこれまで目算で27mくらいだと推定されていました」(北区関係者の話)とのことですが、実は北区役所横に46.6mの三角点もあって、飛鳥山の標高は野放し状態だったのが真相。
そこに目をつけた北区が、飛鳥山モノレール(あすかパークレール)の開業を機会に、標高25.4mの公共基準点と、飛鳥山山頂モニュメントを設置したというわけなのです。
つまり「山頂」が明確になったのは、飛鳥山モノレール(あすかパークレール)開業の前年、平成20年と意外に最近のことだったのです。
飛鳥山は、愛宕山より低いので、なんと北区では「東京都内で一番低い山であることを確認した」として、国土地理院へ地形図への記載を申請したのですが、残念ながら今のところこれは実現していません(下の地形図を参照)。
明治時代の迅速図(二万分の一)には、ちゃんと「飛鳥山」の記載もあるので、自然地形であることは明白なのですが。
ただし、この公共基準点の場所、平成5年までは、「飛鳥山タワー」と通称された回転展望塔「スカイラウンジ」があった場所。建設時に整地されて低くなっているという気もしますが・・・。
人工の地形を含めれば「山」と付く地形で、東京23区の最高峰は、東京都立戸山公園内の箱根山で標高44.6m。自然地形では愛宕山25.69m、飛鳥山25.4m。その他の山としては室町時代、太田道灌(おおたどうかん)の砦があった道灌山(荒川区西日暮里4丁目)、そして西郷隆盛の弟・従道の敷地だったという西郷山(西郷山公園/目黒区青葉台)などがあります。
飛鳥山山頂モニュメント | |
名称 | 飛鳥山山頂モニュメント/あすかやまさんちょうもにゅめんと |
所在地 | 東京都北区王子1-1-3 |
関連HP | 東京都北区公式ホームページ |
電車・バスで | JR京浜東北線王子駅中央口・南口から徒歩5分 |
駐車場 | 21台/有料 |
問い合わせ | 北区役所土木部道路公園課公園河川係 TEL:03-3908-9275 |
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