天上山・不入が沢

天上山・不入が沢

東京都神津島村、神津島の中央にそびえる天上山、白島下山口(白島登山道の山頂)近くにある凹地が不入が沢(はいらないがざわ)。神津島に伝わる「水配り神話」で、伊豆諸島の神々が集まったとされるのがこの不入が沢で、今も神聖な場所として立ち入りが禁じられる聖域です。

伊豆諸島の神々が水配りの会議をしたという聖地

天上山・不入が沢

ひょうたん型をした天上山ですが、南側の黒島部分は、複数の溶岩ドーム(流紋岩質)の集合体。
北側の白島は火口から噴出した軽石や火山灰が堆積した火砕丘が主体です。
不入が沢は白島部分にあるので火砕丘の縁の凹地ということになります。

事代主命(ことしろぬしのみこと)が伊豆諸島を創造後、各島の神々を神津島・天上山の不入が沢に集め、島々でもっとも大切な水の確保の会議を開きました。
神々の討議の結果、翌朝、早く来たものから水を得られるという取り決めに。
最初に現れたのが御蔵島(みくらじま)の神様だったので、御蔵島は水に恵まれ、次に新島、3番目八丈島、さらに三宅島、大島と続き、最後に寝坊してやってきたのが利島(としま)の神様なので、利島は水の確保が大変になったという話です(式根島は新島の、青ヶ島は八丈島の属島の扱い)。
利島の神は、大いに不満だったので山上の満々と水を湛える不入が沢で大暴れし、島の四方八方に水が飛び散り、神津島は各所で水が湧くようになったというオチまで付いています。

神々が集った時代には、不入が沢は満々と水をたたえた池だったということになります。
不入が沢が生まれたのは、承和5年(838年)の天上山の噴火以降なので、あくまでも神話です。

神津島村によれば、昔は神が集う島、「神集島」と記したとのことですが、神ツ島から神津島に転じた可能性もあります。
古代に黒曜石を産し、丸木舟時代の伊豆諸島の交流の拠点だった神津島だったからこそ、神が集まるという神話が生まれたのかもしれません。

神津島に鎮座する阿波命神社(あわのみことじんじゃ)も平安時代編纂の『延喜式神名帳』に記載の古社で、祭神の阿波咩命 (あわのめのみこと)は神津島の開拓神。
承和5年(838年)、天上山が噴火は阿波咩命の怒りということで、朝廷は神階を上げています。

前浜海岸にあるモニュメント「水配り像」は、この水配り神話がモチーフで、神津島のシンボルとして建立。

天上山・不入が沢
名称 天上山・不入が沢/てんじょうさん・はいらないがざわ
所在地 東京都神津島村天上山
関連HP 神津島観光協会公式ホームページ
電車・バスで 神津島港から黒島登山口まで徒歩40分
問い合わせ 神津島観光協会 TEL:04992-8-0321/FAX:04992-8-0323
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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