練馬区
プレスマンユニオン編集部
中里の富士塚
東京都練馬区大泉町の八坂神社脇にある江戸時代の富士山信仰を今に伝える史跡が、中里の富士塚(なかざとのふじづか)。江戸時代中期から明治にかけて富士講が全盛時代を迎え、江戸八百八町それぞれに講中(こうぢゅう)が組織されていました。中里の富士塚は、大泉富士とも呼ばれ、市街地に残される貴重な富士塚です。
練練馬区の富士山信仰を今に伝える「大泉富士」
富士山を御神体とし、浅間大菩薩(せんげんだいぼさつ=浅間大神)を信仰するのが富士講で、浅間大神は、木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)とされ、富士山麓の溶岩洞穴などはその胎内という考えから胎内めぐり(洞窟探検)も盛んに行なわれました。
練馬から富士山頂まですべて徒歩で到達するため、日数も経費もかかり、富士講に加入する全員が毎年富士山に登拝することはできません。
そのため、年ごとに講の代表者として参拝する者を選び、必要な経費を講員全員で負担したのです。
富士山から溶岩を運び、富士山に似せた富士塚を築いたのは、富士塚に上れば実際に富士山に出かけたのと同じ御利益があるとされたから。
富士講の広告的な戦略だったのかもしれません。
中里の富士塚は、比高12m、直径が30mという大規模なもので、明治初期に丸吉講(まるきちこう)によって築かれたともいわれますが、文政5年(1822年)の石碑が現存しているので、その原型は江戸時代後期にはあったと推測できます。
丸吉講は、新座郡片山村の浅海吉右衛門(行名・蓉行芙厚)が天保2年(1831年)に開いた富士講の講中で、わずか2年足らずで入間郡、多摩郡、豊島郡、新座郡の4郡に加入戸数4000軒の信者を集め、その勢いで、明治の神仏分離の荒波を乗り越え、都内にも中里の富士塚のほか、下練馬の富士塚、板橋区赤塚・氷川神社の上赤塚富士、板橋区大門・諏訪神社の下赤塚富士を残しています。
現在、中里の富士塚を築いた富士講も廃絶され、お山開きなどの行事は行なわれていません。
現在の練馬区には中里の富士塚のほか、下練馬の富士塚、江古田の富士塚、氷川神社富士塚(練馬区北町)と富士塚が4ヶ所も現存し、富士講が盛んだったことがよくわかります。
大山詣で(丹沢大山の大山寺を参詣)、江ノ島詣で(江ノ島の弁財天を参詣)、箱根権現詣で(現在の箱根神社を参拝)などとからめて、数少ないレジャーとしても楽しんだのでしょう(江戸時代には、大山と富士山の両方を参拝することを「両詣り」とされ、人気がありました)。
中山道の志村から川越街道の下練馬宿を通り、府中へと抜ける大山街道は、まさに参詣の道だったのです。
とくに練馬からの道は、富士山への参詣者も通ったため「ふじ大山道」とも称され、東京都練馬区北町1丁目の川越街道と「ふじ大山道」との分岐点に、宝暦3年(1753年)に下練馬村講中が立てた「ふじ大山道 田なしへ 三里 府中江 五里」と陰刻された標石が現存しています。
中里の富士塚 |
名称 |
中里の富士塚/なかざとのふじづか |
所在地 |
東京都練馬区大泉町1-44 大泉八坂神社 |
関連HP |
練馬区公式ホームページ |
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電車・バスで |
東京メトロ成増駅から西武バスで和光市南下車、徒歩8分 |
駐車場 |
周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ |
練馬区地域文化部文化・生涯学習課 TEL:03-5984-2442/FAX:03-5984-1228 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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