伊豆諸島の最南端に位置する、絶海の孤島(孤岩)が、孀婦岩(そうふがん)。鳥島の南76kmに位置する標高99m、東西84m、南北56mの岩峰で、気象庁の認定する活火山のひとつ(昭和50年には海水の変色が視認されています)。海面下には1500m〜2000mの裾野は隠され、山頂部のみ海上に出てします。
NHKスペシャル『秘島探検 東京ロストワールド』で紹介
孀婦岩の岩質は海底部分は玄武岩ですが、海上部分は安山岩。
これは柔かい玄武岩が浸食でなくなり、溶岩を噴出した火道部分(安山岩)だけが絶海の孤島として残されて海の中に屹立(きつりつ)しているのです。
平成30年秋には、NHKスペシャル『秘島探検 東京ロストワールド 第2集 孀婦(そうふ)岩』が放送され、話題になりました。
海中を探ると、水深200mほどのところに平らな台地状の山がバースデーケーキ状に広がり、ロウソクの1本が海上に突き出している感じということで、カルデラの外輪山であることがわかっています。
伊豆諸島の最南に位置する孀婦岩の南30kmから西之島にかけて、七曜海山列(しちようかいざんれつ)と呼ばれる7つの海山があり、北から日曜海山、月曜海山、火曜海山、水曜海山、木曜海山、金曜海山、土曜海山と続いています。
日曜海山で、最浅水深は827mと深い海の中なので視認することはできませんが、孀婦岩から南にも海底には火山列があることがわかっています。
1788年4月9日、イギリス人船長ジョン・ミアーズ(John Meares)が、「フェリス号」(Felice)など2艘の船でマカオを出航し、ミンダナオ島を経て北アメリカに向かう途中で、孀婦岩を発見、Lot’s wife(『旧約聖書』創世記19章26節に記された、神がソドムとゴモラを滅ぼしたとき、ロトとその家族は振り返らずに逃げるように言われたものの、ロトの妻は従わなかったため塩の柱に変えられてしまった)と名付けています。
日本の記録では『寰瀛水路誌』(かんえいすいろし/明治19年、海軍省水路局編纂)に孀婦岩と記載されています。
孀婦とは未亡人のことで、ロトの妻を意訳して孀婦岩としたと推測できます。
所属する町村が定まっていないため、東京都の直轄となり(八丈支庁の管轄)、本籍を置くことはできません。
ちなみに伊豆諸島ですが、八丈島から先には、青ヶ島(青ヶ島村/伊豆諸島最南の有人島)、ベヨネース列岩、須美寿島、鳥島、孀婦岩と続いています。
画像協力/海上保安庁
孀婦岩 | |
名称 | 孀婦岩/そうふがん |
所在地 | 東京都八丈支庁孀婦岩 |
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