中央区
プレスマンユニオン編集部
十思公園・石町時の鐘
東京都中央区日本橋小伝馬町5丁目、十思公園(じっしこうえん)の園内にあるのが、石町時の鐘(こくちょうときのかね)。江戸時代、一帯には伝馬町牢屋敷(てんまちょうろうやしき)があったため、刑の執行時刻の正確を期するために時の鐘が置かれていました(江戸市中9ヶ所の筆頭)。
江戸の町に時を告げた鐘が、十思公園に移設現存
当初、江戸市中に時を告げる鐘は江戸城の西の丸にあり、夜明けの「明け六つ」と日暮れの 「暮れ六つ」の2回撞かれて、登城時刻などを知らせていました。
2代・徳川秀忠の時代になると昼夜にわたり2時間ごとに鳴らされるようになり、さらに将軍の御座所に近いので、太鼓に変更しています。
江戸市中にも広く届く時鐘の必要性が高まったことを背景に、江戸城内で鐘撞役をしていた辻源七(徳川家康に帯同して江戸に在住)が、寛永3年(1626 年)、日本橋本石町(現・中央区日本橋室町4-5、本町4-2一帯)に200 坪の土地を拝領し、鐘撞堂を建設、鐘を鋳造したのが、江戸市中で最初といわれています。
鐘の聞こえる範囲の町から鐘役銭(町人は間口1間につき4文)を徴収し、維持管理にあてていました。
江戸市街地の拡大とともに、本石町、上野・寛永寺、市ヶ谷八幡、赤坂田町・成満寺(戦後、多摩市に移転)、芝・増上寺、目白不動尊、浅草寺、本所横堀、内藤新宿・天龍寺にも時の鐘が設置され、江戸城からの太鼓の音を基準に、この順で鐘を撞くようになったのです(明治4年9月、時の鐘は廃止)。
まず「捨て鐘」と呼ばれる鐘を3回撞き、その後で時の鐘を1回打ち鳴らすというシステムを導入。
この「捨て鐘」で、次の場所が事前に準備できるというもので、17世紀にはこの制度が全国へと広がっていきました。
本石町では、処刑のある日はわざと数分遅らせて撞く「情けの鐘」も行なわれたとのこと。
現存する鐘は、宝永8年(1711 年)のもので、昭和5年、伝馬町牢屋敷跡地に鉄筋コンクリート造りのモダンな鐘楼が建てられ、「石町時の鐘」が現存しています。
「石町は江戸を寝させたり起こしたり」、「お江戸日本橋七つ立ち」といわれるのも、石町時の鐘。
日の出が明け六つとなるので、暁七つというのは、まさに暗いうちの旅立ちで、石町時の鐘が7回鳴らされる鐘の音を聞いて日本橋を出立したということ。
当時の大名行列は早朝に出立し、高輪あたりで夜が明けて提灯を消すのが一般的でした。
「石町の鐘はオランダまで聞こえ」というのは、近くの長崎屋源右衛門の邸宅(長崎奉行の監督下にあり、「江戸の出島」とも/現・中央区日本橋室町4-2)がオランダ商館長(カピタン)江戸参府の際の定宿だったから。
また、「上野の追い出し鐘」と称されたのは、この鐘を合図に上野・寛永寺の山門を閉めていたようです。
十思公園・石町時の鐘 |
名称 |
十思公園・石町時の鐘/じっしこうえん・こくちょうときのかね |
所在地 |
東京都中央区日本橋小伝馬町5-19 |
|
電車・バスで |
東京メトロ小伝馬町駅からすぐ |
駐車場 |
周辺の有料駐車場を利用 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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