東京都目黒区駒場2丁目にある総面積3.9haの目黒区立公園が、駒場野公園。一帯は東京大学駒場キャンパスを含め、背丈ほどの笹が一面に生え駒場野と呼ばれる原野だった地で、明治11年には駒場農学校が開校。公園の一角には農学校時代の名残である農学発祥の地「ケルネル田圃」も保存されています。
駒場農学校(後の東京教育大学)の跡地の一部を公園に
東京大学農学部、筑波大学生命環境学群生物資源学類、東京農工大学農学部の前身となるのが、明治11年1月24日開校の駒場農学校(「農をもって国民の生活を豊かにする事業は、まさに今日この日からはじまるのだ」駒場農学校開校式で大久保利通)。
広大な駒場野の敷地は、東京大学駒場地区キャンパス、駒場野公園、駒場公園(前田利為侯爵駒場邸跡)や住宅地になっています。
駒場野公園も東京教育大学(現・筑波大学)のつくば市への移転に伴って、昭和61年3月31日、目黒区が公園として開園。
駒場農学校の実習に使ったケルネル田圃、駒場野自然観察舎、デイキャンプ場、テニスコート、ゲートボール場などが整備されています。
園内の樹木には、シラカバ(長野県)、イチイ(岐阜県)、ユキツバキ(新潟県)、トチノキ(栃木県)など北国の県木を植栽した「北の国の林」、クヌギ、コナラ、ケヤキなどの茂る「関東の雑木林」、アカマツ、エノキ、ミズキなどが植栽された「関西の雑木林」、ヤマモモ(徳島県)、備長炭を生み出すウバメガシ(和歌山県)、ヤブツバキ(長崎県)、モクセイ(静岡県)など「南の国の林」があり、各都道府県の県の木を確認しながら森を歩くことができます。
このほか、果樹園、サルスベリの林などがあり、ソメイヨシノ、オオシマザクラ、エドヒガン(江戸彼岸)、ジュウガツザクラ(十月桜)、ケンロクエンキクザクラ(兼六園菊桜)など19品種の桜も植栽されています。
バーベキュー(ただしアルコール類、楽器や音響機器の持ち込みは禁止)は園内のデイキャンプ場で可能(炉は5基あり、1炉当たり8名が利用可能/予約制、揮発性燃料の使用は不可)。
駒場農学校で教鞭をとったオスカル・ケルネルとは!?
クラーク博士で有名な札幌農学校はアメリカの農業を教育の柱にしていましたが、駒場農学校はドイツの農業教育が手本。
ドイツの農化学者、オスカル・ケルネル(Oskar Kellner)は、イギリス人教師キンチ(E.Kinch)の後任として明治政府に招聘され、明治14年11月5日に来日し、駒場農学校の農芸化学の主任に着任。
駒場農学校は東京農林学校(明治19年)、東京帝国大学農科大学(明治23年)へと発展していきますが、ケルネルも明治25年まで教鞭をとり(講義は英語で実施)、農芸化学科在籍者のうち57名の卒業生を送りだし、後の東京帝国大学総長・古在由直(こざいよしなお)など農芸化学界で活躍する人々を輩出しています。
稲作の肥料試験、燐酸肥料分析などはわが国の稲作改良に大きな影響を及ぼしていますが、駒場野公園内には、ケルネルが研究の際に試験田として使用していたケルネル田圃も現存。
維持・管理は筑波大学附属駒場中学校・高等学校の生徒たちが行ない、入学式や卒業式では、ケルネル田圃で収穫された米で炊かれた赤飯が新入生、卒業生に配布されています。
駒場野公園 | |
名称 | 駒場野公園/こまばのこうえん |
所在地 | 東京都目黒区駒場2-19-70 |
関連HP | 目黒区公式ホームページ |
電車・バスで | 京王井の頭線駒場東大前駅から徒歩2分 |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 目黒区道路公園課 TEL:03-5722-9775/FAX:03-3712-5129 |
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