東京都小笠原村、父島の中央に位置する父島の最高峰、中央山(319.4m)の山頂一帯に整備されるのが中央山園地。山頂展望台、野外卓・ベンチのほか、戦時中使用していた日本海軍の電場探信儀(でんぱたんしんぎ=レーダー)の台座が残されています。
晴れていれば母島まで眺望する中央山展望台
中央山園地にある展望台からは二見港、そして三日月山を眼下に、360度の展望が開け、張れた日には母島列島、婿島列島(むこじまれっとう=小笠原諸島の最も北に位置する無人島群)も展望できます。
中央山園地の入口までは夜明道路と通称される東京都道240号(父島循環線)が通じているので、園地入口から山頂まで300mほど歩くだけで大パノラマを得ることができます。
中央山は三角点のある山頂と北の見晴台と2つのピークがありますが一般的には山頂側で十分です(園地入口からの歩道途中に分岐点があります)。
山頂往復だけなら30分ほど、見晴台を含めると1時間ほど必要。
日本海軍の電場探信儀(レーダー)が置かれた中央山
硫黄島防衛の後方支援の位置にあった小笠原諸島は、第二次世界大戦では周辺で多くの戦闘が行なわれ、多くの艦船が沈んでいます。
大正8年に父島要塞設置が決定され、昭和16年、父島要塞司令部、昭和17年には中央山と乳頭山見張所が設置、昭和19年には島要塞電波警戒隊編成され、厳戒態勢が敷かれたのです。
現在、中央山に通じる夜明道路も、父島要塞防空隊の陣地設営、夜明山に海軍通信隊送信所を設置するなど、軍用道路として開削されています。
父島の二見港も戦時下には防潜網と機雷が敷設され、海からの侵入に備え、中央山には海軍の陸上用電場探信儀(レーダー)、二式一号一型(早期航空機監視、陸上設置のパルスレーダー)が設置されました。
警戒用電波探信所の設置の基準は、
・四周が開けていること
・主方向に山などの反射物がないこと
・なるべく高所であること
・背面に反射物がある場合は緩やかな斜面でこの反射物を見えないようにすること
・電子機器への影響が少ない場所(温度が低い、風が当らない、雪の吹き溜まりがない、海岸から少し離れて海水の飛沫が届かない)
・部外電線・有線通信が利用しやすい場所
・燃料・食糧・飲料水の調達がしやすい場所
という条件が定められ、中央山が選ばれたのです。
200MHzの電波を出す二式一号一型(パルスレーダー)の電探能力は、最大で150kmとされています。
中央山園地 | |
名称 | 中央山園地/ちゅうおうさんえんち |
所在地 | 東京都小笠原村父島丸山 |
関連HP | 東京都小笠原支庁公式ホームページ |
ドライブで | 二見港から約4km |
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