東京都文京区小石川2丁目にある浄土宗の寺が、源覚寺。宝暦年間(1751年〜1764年)、目の悪い老婆に閻魔大王が自身の右目を与えて治療、老婆は感謝して好物の「こんにゃく」を断ち、供え続けたとされたという伝承から、「こんにゃく閻魔」と呼ばれています。
1月16日、7月16日は薮入りで、『閻魔例大祭』
源覚寺は、寛永元年(1624年)、後に増上寺第18世となる定誉随波が創建。
本尊は阿弥陀三尊(阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩)で、徳川秀忠、徳川家光など歴代将軍も尊崇したという名刹です。
嘉永年間(1848年〜1854年)刊行の『江戸切絵図』東都小石川絵図にも、源覚寺には「コン二ヤク閻魔」という特記が入っています。
諸堂は江戸時代の度重なる大火や、東京空襲で焼失、現存する本堂は昭和54年の再建。
本尊や、こんにゃく閻魔は難を逃れ、今も多くの参詣者を集めています。
眼病を患った老婆は、源覚寺に祀られる閻魔大王に21日間の祈願を行なったところ、「満願成就の際には、私の両目の内、ひとつを差し上げよう」という夢告があり、見事に眼病が治癒。
老婆は感謝の印に好物の「こんにゃく」を断ち、供えつづけたということで、「こんにゃく閻魔」と呼ばれるようになったのです。
江戸時代の霊験記で、夏目漱石の小説『こころ』(「私は外套を濡らして例の通り蒟蒻閻魔を抜けて細い坂道を上って宅へ帰りました」)、本郷菊坂に暮らした樋口一葉の『にごりえ』(「あゝ今日は盆の十六日だ、お焔魔樣へのお參りに連れ立つて通る子供達の奇麗な着物きて小遣ひもらつて嬉しさうな顏してゆくは」)にも登場しています。
源覚寺の閻魔像は、右目部分が割れて黄色く濁っていますが、老婆に分け与えたためなんだとか。
境内には治したい部分に塩をこすると治ると伝えられる2体で1組の塩地蔵尊もあるのでお見逃しなく。
『閻魔例大祭』は、「薮入り」(やぶいり)の毎年1月15日〜1月16日、7月15日〜7月16日。
旧暦1月16日と7月16日、丁稚(でっち)や女中など奉公人が実家へと帰ることが許される日で、地獄で閻魔大王が亡者の責めを止める賽日「地獄の釜開(あ)き」であるとされたことで、全国の閻魔大王像はこの日に開帳されることが多いのです。
平成7年に始まった比較的新しい七福神、小石川七福神(深光寺・恵比寿、徳雲寺・弁財天、極楽水・弁財天、宗慶寺・寿老人、真珠院・布袋尊、福聚院・大黒天、源覚寺・毘沙門天、東京ドームシティ・福禄寿)の毘沙門天を祀っています。
源覚寺(こんにゃく閻魔) | |
名称 | 源覚寺(こんにゃく閻魔)/げんかくじ(こんにゃくえんま) |
所在地 | 東京都文京区小石川2-23-14 |
関連HP | 源覚寺(こんにゃく閻魔)公式ホームページ |
電車・バスで | 都営地下鉄春日駅、東京メトロ後楽園駅から徒歩3分 |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | 源覚寺(こんにゃく閻魔)TEL:03-3811-4482 |
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