東京の公園
プレスマンユニオン編集部
武蔵関公園
東京都練馬区関町北3丁目にある練馬区営の公園が、武蔵関公園。公園面積4.9ha、石神井川に沿い、南北に細長い富士見池を中心とした緑地公園で、散策、ボート遊び、砂場、遊具を使って子どもを遊ばせることができます。農業用の「関村の溜井」が前身で、大正時代に若宮遊園として開園した歴史ある公園です。
農業用のため池が、洪水防止の調節池に変身
関町北4丁目(石神井高校内)は、標高54.04mと23区内の最高所エリア。
武蔵野台地(洪積台地)下部の砂礫層からの湧水を集めた沼地が富士見池の前身です。
文政11年(1828年)編纂の地誌『新編武蔵風土記稿』には、豊島郡関村、上石神井村、下石神井村、田中村、谷原村の5ヶ村で、関村の溜井の管理を行なっていたと記されています。
田無用水に下田半兵衛が水車を設置した際には、その余水が関村の溜井へ流れこんで増水し、田の稲が水腐れしたとして、5ヶ村が代官所に訴え出る事件も起こっています。
江戸時代の石神井川は、下流(現在の王子周辺など)を合わせると、40ヶ村を超える村々の農業用水になっていました。
昭和40年頃までは、富士見池の至るところで水が湧き出ていましたが(石神井川の水源としても機能)、石神井川の護岸工事で水脈が断たれたこともあって、今ではそんな湧水も失われています(西側の早稲田大学東伏見グラウンドから湧水を自然流下で導水)。
公園に沿って流れる石神井川は、源流である石神井公園の三宝寺池の湧水量の減少などにより、ほとんど涸川の状態ですが、大雨などの際には富士見池が遊水池(富士見池調節池)の役割を果たしています。
富士見池調節池は掘込式で、石神井川の水位が上昇した際に、越流堤から洪水を取水し、洪水が落ち着くと、池の最下流に設けたゲート(富士見池水門)を開き、水を流す仕組み。
水門を閉め切ることにより、富士見池の水位を1.5m上昇し、最大3.1万tの貯水が可能となるのです。
実は武蔵関公園の地下には貯留槽が設置され、さらに貯水量を増やして洪水に備えています。
逆に水位低下時には、地下190mまで掘削された防災用ポンプで導水。
通常は、富士見池の周囲を散策すれば、カワセミなどの野鳥を観察できます(南側のあしの島周辺が営巣地)。
ボート場は、3月15日〜11月の開設で、期間中は、月曜(月曜が祝日の場合は翌日)休。
手こぎボート(ロウボート)だけですが、料金が安く、手軽に利用できます。
武蔵関公園 |
名称 |
武蔵関公園/むさしせきこうえん |
所在地 |
東京都練馬区関町北3-45-1 |
関連HP |
練馬区公式ホームページ |
|
電車・バスで |
西武新宿線東伏見駅から徒歩5分 |
駐車場 |
なし |
問い合わせ |
練馬区土木部維持保全担当課西部公園出張所 TEL:03-3904-7557 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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