高尾駅

高尾駅

東京都八王子市にあるJR中央本線、京王電鉄高尾線の駅が、高尾駅。明治34年8月1日、官設鉄道の浅川駅(あさかわえき)として開業した歴史ある駅で、現在の社寺建築の駅舎は昭和2年、大正天皇御大喪の際、新宿御苑仮停車場として建てられた建物を移築したもの。「関東の駅百選」に選定。

大正天皇の葬儀で建設された新宿御苑仮停車場を移築

高尾駅
新宿御苑仮停車場を移築

大正15年12月25日に崩御した大正天皇の『大喪の儀』は、2月7日に新宿御苑、2月8日に御陵所となる武蔵陵墓地「多摩陵」(たまのみささぎ)で行なわれています(東京に御陵所が置かれたのは大正天皇陵が初めて)。

新宿御苑で行なわれた『大喪の儀』のための新宿御苑仮停車場を鉄道省工事部(鉄道省内に大喪委員会を設置)が担当し、鹿島組・鹿島精一に委託。
台湾総督府技師として台湾の鉄道建設に携わり、請われて鹿島組の理事となっていた菅野忠五郎が工事を担当し、突貫工事で建設しました(12月30日に図面受け取り、1月20日竣工)。
木造平屋建で、杮板葺き(こけらいたぶき)で、中央部と左右翼(ホーム上家)からなる建物でした。

武蔵陵墓地「多摩陵」への最寄り駅として、皇族が武蔵陵墓地を参拝する際に使用する東浅川仮停車場(昭和35年廃止)が建設されましたが、そのひとつ先の浅川停車場(浅川駅、昭和36年から高尾駅)は、駅を降りて自動車で多摩御陵に参拝する場合もあったため、新宿御苑仮停車場は浅川停車場に移設されたのです。

平成9年に「高尾山の玄関口として親しまれている趣のある社寺風の駅」として関東の駅百選に選ばれたのは、この旧駅舎です。

JR中央本線のホーム(3番・4番ホーム東京側)には、高尾山薬王院に祀られる飯縄大権現の眷属(けんぞく=従者)が天狗ということで、巨大な天狗の像が置かれています。
昭和53年に設置された大天狗像は、高さ2.4m、鼻の長さだけで1.2mという巨像です。
塩山御影石を使用し、重さは18tもあり、中央本線と旅する人の安全を見守っています。

なお、現在、八王子市では、南北自由通路の設置を計画し、現在の駅舎は自由通路建設に伴い撤去され、再築となる可能性もあります。

高尾駅
JRのホーム(3番線・4番線)に置かれた大天狗
高尾駅
名称 高尾駅/たかおえき
所在地 東京都八王子市高尾町
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