東京都杉並区にある都立公園が、善福寺公園。武蔵野三大湧水池に数えられる善福寺池を中心とした公園ですが、善福寺池は善福寺川の源流となる上の池、下流側の下の池に分かれており、武蔵野三大湧水池に数えられるのは、ボート遊びができる上の池で、下の池は善福寺川を堰き止めて築いた人工池です。
善福寺池は、日本野鳥の会「生誕の地」
善福寺池は善福寺川の源流というほか、東京都水道局浄水所の水源になっているため、善福寺池上の池の西岸には東京都水道局杉並浄水所(昭和7年3月15日通水)があります(東京23区で唯一の井戸水を水源とする浄水場)。
10mほど掘り下げると地下水脈があり、そこから取水しています。
江戸時代には井の頭池を水源とする神田上水の補助水源にもなっていました。
善福寺池も湧水池といいながらも現在では湧水は枯渇し、深さ120mの井戸を掘って水を汲み上げ、その水を湛えています。
昭和4年11月、本格的作家をめざし田園生活に入った中西悟堂(なかにしごどう)は、千歳村烏山(現・世田谷区北烏山)から善福寺池近くに居を移し、善福寺池周辺で野鳥、淡水魚、昆虫などの観察を開始。
昭和9年には日本野鳥の会が設立されたことから、善福寺池は、日本野鳥の会「生誕の地」ともなっているのです。
善福寺池周辺は、都市化の波から自然を守るために昭和5年、洗足池、石神井池、小合溜(こあいだめ)・江戸川とともに東京府の風致地区に指定され、周囲の景観とともに保全が決まっています。
昭和9年には善福寺風致協会が組織され、昭和13年にはボート場も開場。
上の池には中島が2つあり、そのうちのひとつには弁才天(市杵島神社)が祀られています。
『善福弁才天略縁記』には、鎌倉時代の建久8年(1197年)、江ノ島から江島弁才天を勧請したと記されています。
江島弁才天は、鎌倉時代の史書『吾妻鏡』に、寿永元年(1182年)源頼朝が勧請と記されるので、源頼朝の奥州征伐と関係しているのかもしれません(もちろん後世の創作伝説という可能性も)。
もともとは上の池のもうひとつの島に祀られていましたが、寛永年間(1624年〜1644年)に現社地に遷座。
例大祭の4月8日のみ、仮橋が架けられ、島に渡って拝むことができます。
弁才天(市杵島神社)近くの池の畔には、源頼朝が奥州征伐の際に立ち寄ったと伝えられる遅の井の滝が落ちていますが、今は、地下水汲み上げによる復元した滝です。
善福寺池 | |
名称 | 善福寺池/ぜんぷくじいけ |
所在地 | 東京都杉並区善福寺2・3丁目 |
関連HP | 東京都公園協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR荻窪から関東バス南善福寺行きで善福寺公園下車 |
駐車場 | なし |
問い合わせ | 善福寺公園サービスセンター TEL:03-3396-0825 |
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