東京都台東区、上野恩賜公園の不忍池(しのばずのいけ)寄り、上野精養軒近くに建つのが、寛永寺時鐘堂。「上野の時の鐘」として、時を今も告げる歴史的な時鐘です。寛文6年(1666年)に設置された鐘で、往時は江戸市中に9ヶ所の時の鐘がありましたが、現存、現役では唯一の時鐘になっています。
芭蕉も聞いた上野の山の時の鐘
現在の寛永寺・時鐘堂(時の鐘)は、天明7年(1787年)に改鋳されたもの。
谷中・感応寺で製造され、正面には「東叡山大銅鐘」、裏側に「天明七丁未歳八月」と刻まれています。
現在も6:00、正午、18:00の1日3回、上野界隈に時を告げているので、上野恩賜公園にいるならぜひ耳を澄ませましょう。
「花の雲 鐘は上野か 浅草か」は、生類哀れみの令が出された貞亨4年(1687年)、松尾芭蕉44歳の句。
深川の草庵で鐘の音を聞き、東叡山寛永寺の鐘だろうか、浅草・浅草寺の鐘だろうかという春の句(芭蕉前期、最高傑作のひとつ)。
寛永寺には時鐘堂のほか、根本中堂前に鐘楼堂があり、2ヶ所で除夜の鐘を撞いていますが、冥加料を払って参加も可能(破魔矢や御札を授与/例年12月1日から受付)。
環境省の「残したい日本の音風景100選」にも選定。
「時の鐘」と言えば蔵の町・川越の時の鐘が有名ですが、現在も時を告げる関東の鐘では、岩槻城下(埼玉県さいたま市岩槻区)が最古で、享保5年(1720年)の改鋳。
天明7年(1787年)に改鋳の上野・寛永寺、明治27年改鋳の川越・時の鐘と続きます。
寛永寺・時鐘堂(時の鐘) | |
名称 | 寛永寺・時鐘堂(時の鐘)/かんえいじ・じしょうどう(ときのかね) |
所在地 | 東京都台東区上野公園4-58 |
関連HP | 寛永寺公式ホームページ |
電車・バスで | JR上野駅から徒歩5分 |
ドライブで | 首都高速上野ランプから約1km |
駐車場 | なし/周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 寛永寺 TEL:03-3821-1259 |
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