飛鳥山公園の桜

上野公園などとともに明治6年に日本初の都市公園として開園した飛鳥山公園。もともとは、8代将軍・徳川吉宗が享保の改革の一環として公園を整備、ヤマザクラを植栽したのが始まり。江戸時代には庶民の手頃な行楽の場所として、春は花見の地として賑わいを見せました。

夜21:00までなら夜桜見物も可能

1720(享保5)年、徳川吉宗が桜を植えたのが始まりという歴史ある花見スポット。
江戸庶民が花見を楽しめたのは、飛鳥山、御殿山(現在の東京都品川区北品川3丁目から4丁目あたり/台場建設で桜の名所だった山は削られ現存しません)、上野の山(当時の東叡山寛永寺境内)、隅田川の墨堤、玉川上水の桜の5ヶ所。

飛鳥山公園となった園内にはソメイヨシノ、サトザクラ、カンヒザクラなど600本の桜が植栽され、開花期間中の17:30~21:00なら夜桜見物も可能。21:00以降の宴会は周辺住民への迷惑になることから禁止されているので、マナーを守って夜桜観賞を。
また開花期間中の土・日曜には『北区さくら SA*KASO まつり』も開催。

園内にある「桜賦の碑」は佐久間象山の書いた『桜賦』を、門弟である勝海舟の意向で碑にしたもので、明治14年の建立。

庶民が楽しむ花見の場所を吉宗が建設

中世の豪族、豊島氏は熊野信仰に傾倒し、紀州熊野(現・和歌山県)から熊野権現(若一王子神社)を勧請。これが王子という地名になりました。

その王子は、東照大権現(徳川家康)が祀られる日光山輪王寺(輪王寺と東照宮)への参詣の道である日光御成道(岩槻街道)沿いです。
時の将軍、吉宗(紀州藩出身)は日光参詣の折に、この故郷・紀州にゆかりの深い地名を気に入り、近くにあった鷹狩の場にもしばしば通ったといいます。

当時の飛鳥山は、高台から筑波山を眺める絶景の地でもあったのです。

吉宗時代以前の花見といえば、天海僧正が植えた桜がルーツという東叡山寛永寺の桜でした。ところが名だたる天台宗の名刹で、将軍家の霊廟もある寺ですから、放歌高吟・歌舞音曲は禁止という堅苦しいお花見しか許されませんでした。しかも夜桜見物はできません。

そんな江戸の花見事情を考慮して、庶民の花見の場所として吉宗は、王子の飛鳥山に桜を植え、開放したのです。水茶屋の建設も許可され、多くの花見客を集めたのです。
1733(享保18)年には吉宗も家来や奥女中を連れて、飛鳥山の花見を楽しんでします。

江戸名所発句合之内 飛鳥山

 

飛鳥山公園の桜
見頃 3月下旬 ~ 4月中旬
所在地 東京都北区王子1-1
場所 飛鳥山公園
関連HP 北区公式ホームページ
電車・バスで JR・東京メトロ南北線王子駅から徒歩2分
ドライブで 首都高速王子北ランプから約1.6km
駐車場 21台/有料
問い合わせ 北区道路公園課 TEL:03-3908-9275
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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