浪花家総本店

浪花家総本店

東京都港区麻布十番1丁目、麻布十番商店街で行列のできるたい焼きの店が、浪花家総本店(なにわやそうほんてん)。創業は明治42年で、暖簾(のれん)にも「元祖たいやき」の文字が。1階が焼き場とテイクアウト、狭い階段を上がった2階が喫茶コーナーになっていて、たい焼きを味わうことができます。

人気のたい焼きは、焼き方、あんにもこだわりが!

浪花家総本店
よく見ると暖簾にさりげなく「元祖」の文字が

当主の神戸将守(かんべまさもり)さんで4代目という老舗。
浪花家ではたい焼きを「1匹、2匹」と数えて販売し、たい焼きファンも当然ながら「5匹ください」などと匹で注文しています。
たい焼きのルーツは定かでありませんが、浪花家総本店よりも古い歴史の店が現存していないので、「元祖たいやき」を名乗っているとのこと。
九段下と日本橋で営む食堂がルーツで(慶應義塾大学に合格して神戸・御影町から上京した兄弟が、卒業後に食堂を開店)、食堂のデザートとして円形の今川焼き、亀型の「亀の子焼き」や飛行船型の「ツェッペリン焼き」(世界最大の飛行船であった「ツェッペリン伯号」は昭和4年、世界一周途中で日本に飛来)などを焼いていたのだとか。
今川焼きなどはあまり売れなかったので、縁起物、庶民には手に入らない鯛を手頃にという意味もあってたい焼きが生まれたのです。

浪花家総本店のたい焼きの特徴は、店で「ハシモノ」と呼ぶハサミの先に鋳型が付いた器具で1匹づつ丁寧に焼くこと。
鋳型の鯛がずらりと並ぶ店とは異なり、1枚1枚丁寧に手焼きしています(店では「一本釣り」と呼んでいます)。
逆にいえば、「ハシモノ」の先に付いた鋳型を変えれば、「亀の子焼き」、「ツェッペリン焼き」など多彩なバージョンが焼けたということに。

浪花家総本店
「一本釣り」のため、1枚1枚に個性があります

昭和23年、九段から麻布十番に移転

商才に長(た)けた初代は、店舗をフランチャイズ式に150店まで増やしましたが(現在も暖簾分けの店が都内に10店舗ほどあり、そのため総本店を名乗っています)、戦時下に多くが廃止され、昭和23年、九段にあった浪花家総本店も麻布十番「麻布永坂 更科本店」前に移転。

老舗「麻布永坂 更科本店」でそばを味わった客が、土産にたい焼き、老舗「豆源」の豆を買うという構図もあって、麻布十番の名物に発展したのです(「麻布永坂 更科本店」はその後東側に移転しています)。

詩人・サトウハチロー、映画監督・山本嘉次郎(やまもとかじろう)などのお気に入りで、昭和40年、映画『社長シリーズ』でヒロイン役を演じた女優・新珠三千代(あらたまみちよ)が新聞で紹介したことを機に、一躍有名に。
そして昭和50年『およげ!たいやきくん』(作詞・高田ひろお)の大ヒットで、たい焼きブームが起こり、今では行列必至の有名店となったのです。
近くに大使館が多いこともあって、外国人の常連も多数、国際色豊かなたい焼きの名店となっています。

昭和の大ヒット曲で、『ひらけ!ポンキッキ』のオリジナルナンバーとして発表された『およげ!たいやきくん』のモデルにもなった店ともいわれていますが、作詞者・高田ひろおは、絵本作家のかたわら『ひらけ!ポンキッキ』の楽曲を手掛けていた当時、練馬駅前の商店街で見かけたたいやきから、子供時代(北海道釧路市)、銭湯帰りに鯛焼きを買って腹巻きに入れた経験を思い出し、歌詞につながったというのが真相です。
『ひらけ!ポンキッキ』で放送されたアニメキャラクターの「たいやきおじさん」(レコード盤のジャケットにも採用)のモデルは、先代(3代目)の神戸守一さんです。

浪花家総本店
食堂時代を踏襲して2階は焼きそばも名物の喫茶室
浪花家総本店
名称 浪花家総本店/なにわやそうほんてん
所在地 東京都港区麻布十番1-8-14
関連HP 麻布十番商店街公式ホームページ
電車・バスで 東京メトロ・都営地下鉄麻布十番駅から徒歩5分
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 浪花家総本店 TEL:03-3583-4975
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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