東急電鉄の池上線(五反田駅〜蒲田駅)と東急多摩川線(蒲田駅〜多摩川駅)の間を運行しているのが、レトロ車両の「きになる電車」。昭和20年代に池上線と目蒲線(現在の目黒線・東急多摩川線)に走っていた車両(東急3000系初代)をモデルに、車内は木目調のデザインとトーンで統一した昭和レトロな車両(東急1000系1編成)です。
「都心を走るローカル線」の昭和レトロ車両
熟年世代の池上線といえば昭和51年4月25日、西島三重子の2枚目のシングルとして発売、ヒットした歌謡曲『池上線』(作詞・佐藤順英、作曲・西島三重子)。
野口五郎の『私鉄沿線』のヒットを受け、池上線を舞台にした歌が登場しましたが、歌詞の中に「古い電車」、「すきま風に震えて」など、昭和レトロな車両を思わせる部分があったため、PRなどでは東急電鉄の協力を得ることができなかったというエピソードもあります。
モデルとなった東急3000系(初代)は、昭和26年に登場、昭和41年まで池上線と目蒲線で活躍した車両です。
濃紺と黄色のツートンカラーは昭和41年まで、池上線や目蒲線を走る旧3000系に採用されていた懐かしいカラーリング。
その後、「都心を走るローカル線」として池上線の注目度がアップ、沿線には戸越銀座などもあることから、戸越銀座駅の「木になるリニューアル」(平成28年、木造と鉄骨造のハイブリッドで建設)にあわせ、「きになる電車」の運行が始まり、令和元年には第2弾の旗の台駅が、令和3年には第3弾の長原駅が「木になるリニューアル」で生まれ変わっています。
「きになる電車」、吊り手の握る輪の部分、さらにその上のスリーブ部分は職人が手作業でつくったという木製。
よく見るとひとつひとつ木目が異なっているのです。
木を用いることで、耐火基準をクリアできないという難問は、不燃加工を施した木材を使用するなどの工夫を凝らしてクリアしています。
室内灯もLEDながら昼光色を避け、温かみのある電球色を採用するというこだわりで、昭和レトロの温かみを再現しています。
令和元年11月25日からは、「池上線活性化プロジェクト」の一環として初代3000系風の「緑の電車」ラッピングも登場、さらに昭和レトロ感の増した池上線になっています。
池上線と東急多摩川線に「きになる電車」運行中! | |
関連HP | 東急電鉄公式ホームページ |
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