東京都西多摩郡檜原村、奥多摩町の境界にそびえるのが、大岳山(おおだけさん、おおたけさん)。標高1266.4mの山上には、大嶽神社(神仏習合時代には大嶽金峰山蔵王権現)の本社が鎮座し、奈良の吉野山と同様に、修験道で栄えた山であることを今に伝えています。
吉野山から蔵王権現を勧請、修験道でも栄えた霊峰
山頂の大嶽神社は、奈良時代、聖武天皇の治世に、吉野山の大峯山から蔵王権現を勧請したと伝えられ、関東の修験道の聖地的な存在ということに。
江戸時代後期、文政6年(1823年)刊の『武蔵名勝図会』にも、大岳山北東側の御嶽山(みたけさん)・武蔵御嶽神社などとともに、蔵王権現社として記され、奥多摩に吉野山から勧請した蔵王権現への信仰と、修験道が根付いていたことがわかります。
大岳山は、その名の通り、奥多摩でもひときわ印象的にそびえ立ち、明治時代半ばに河田羆(かわだたけし)が著した私撰地誌『武蔵通誌 山岳編』に、「両総地方にて武蔵の鍋冠(なべかぶり)山と称し海路の標となす」と記されるように、江戸湾に出入する船の目印にもなっていました。
近年は、『鬼滅の刃』の嘴平伊之助(はしびらいのすけ)の出身地として『鬼滅の刃』の聖地ともなっていて、狼信仰を伝える山麓の里宮には聖地巡礼に訪れるファンの姿も見かけます(大嶽神社里宮では狼の護符を授与)。
登山としては、ケーブルカーで御岳山の山上まで登り、武蔵御嶽神社に参拝後、尾根沿いに縦走するのが一般的(登り2時間・下り2時間)。
ただし、大岳山へ登りで、鎖場もあり、過去には滑落事故も発生しているので、初心者には不向きです。
JR奥多摩駅から鋸山経由で大岳山山頂に至るルートも山頂直下にハシゴ場もあるので、やはり中級以上向け(登り4時間・下り3時間)。
ファミリーなら大岳鍾乳洞からのコースがおすすめです(大岳鍾乳洞入口から登り2時間45分・下り1時間50分)。
山頂からは晴れていれば富士山を眺望。
山頂近くにあった大岳山荘は、廃業し荒廃しているのでご注意を。
ちなみに大岳山、三頭山、御前山は、「奥多摩三山」と呼ばれています。
大岳山 | |
名称 | 大岳山/おおだけさん、おおたけさん |
所在地 | 東京都西多摩郡檜原村・奥多摩町 |
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