東京都昭島市、東京都道59号(八王子武蔵村山線)・多摩大橋の下流側、多摩川左岸(上流から見て)の川岸に広がるのが、牛群地形(ぎゅうぐんちけい)。川の流れに沿うように河底が削られ、削り残った岩場が牛の群れのように見える場所です。現在は浸食が進んで姿を失いつつあります。
多摩川の砂利採取で現れた平山砂層が浸食されて牛群状に
多摩大橋の下流側は、かって、多摩川の渡しのひとつ、大山街道の「築地の渡し」(ついじのわたし/昭和16年頃廃止)があった場所。
高度成長期に多摩川の砂礫の大量採取が行なわれ、平山砂層(160万年ほど前、第四紀更新世に堆積した地層)が露出し、多摩川によって浸食されて誕生した地形が、牛群地形と呼ばれる地形です。
牛群地形は、地理学者で、『山の自然学』(岩波新書)など著作も多い小泉武栄(こいずみたけえい)の命名。
小泉武栄は、「多摩川の流れがいくつにも分かれ、その間を牛の背のような形の細長い高まりが長く伸びていて、一見すると牛の群が泳いでいるようにも見えます。この地形は世界的に見てもあまり例がなく、たいへん珍しいものですが、特に呼び名もないので、仮に『牛群地形』と呼ぶことにしたいと思います」(平成10年『多摩のあゆみ』)とし、それ以降、研究者もその名を踏襲して定着しています。
昭和30年代には牛群から牛群へ飛び、対岸に渡る子どもたちがいたほどですが、今は牛群の数も減って、往時の姿を留めていません。
表層に露出した地層は、台風の増水などで浸食を受け、近い将来その姿を失うことは確実に。
多摩川・牛群地形 | |
名称 | 多摩川・牛群地形/たまがわ・ぎゅうぐんちけい |
所在地 | 東京都昭島市福島町3-10-13 |
電車・バスで | JR東中神駅から徒歩25分 |
ドライブで | 中央自動車道八王子ICから約7km |
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