東京23区の最低峰は、浅草にある名峰・待乳山!

待乳山

低山歩きがブームを呼んでいますが、東京23区の「超低山歩き」が隠れたブームになっています。そんな超低山マニアに注目されるのが、「東京23区の最低峰」。しかも人工の築山ではなく、自然峰というのが台東区浅草の待乳山(まつちやま)で、国土地理院の地形図にはちゃんと三角点が記され、9.7mという標高も明記されています。

江戸時代には江戸随一の景勝地だった「名峰」

待乳山

その場所は東京都台東区浅草7丁目、浅草寺の東北東、言問橋(ことといばし)の北、隅田公園近くで、全山が待乳山本龍院(待乳山聖天)の境内になっています。

待乳山本龍院は、浅草寺の子院で、待乳山聖天は江戸川区平井の平井聖天、埼玉県熊谷市妻沼の妻沼聖天とともに関東三聖天にも数えられています。
推古天皇9年(601年)、旱魃に見舞われたとき、歓喜天と十一面観音が安置されたと伝えられる古刹で、浅草寺のルーツ的な存在にもなっています。

かつては周囲が見渡せる山で、江戸随一の眺望を誇り、東に筑波山、西に富士山を眺望、江戸時代にも文人墨客が数多く訪れています。
錦絵にも多く描かれ、広重の東都名所にも『真土山之図』として描かれています。
真土山(まつちやま)というのは、周辺は泥土、砂地(沖積低地)でここだけが真土(堆積台地)という意味で、真土山が待乳山に転訛したと推測されています。

山麓から山頂(三角点)を目指すと、河岸段丘のように2段構成で、階段を上った最初のテラスに出世観音、額堂(休憩所)、神楽殿、そして緑豊かな庭園が。
さらに階段を上り詰めると、本堂のある「山上テラス」で、本堂横に三角点があります。
大正13年、関東大震災からの復興を目的に設置されたの三等三角点で(復興局第1号)、現在は活用されていません。

山麓から山頂へ、一気に上る天狗坂(階段)もあり、その横に、足腰の弱い人など向けの「さくらレール」(スロープカー)があり、登山用のケーブルカーのような感じで、ワクワク感も高まります。
4人乗りで乗車時間はわずかに1分程度。
東京の低山では、王子(北区)の飛鳥山公園にある「アスカルゴ」とならんで、珍しい乗り物に。

台東区によれば、上野の山は標高が20mほどあるので、かなりの高山ということに。
待乳山も元は上野の山と同じで本郷台(武蔵野台地)から続く台地の一部でしたが、海の激しい浸食により削られ、現在の「山」の部分だけが残されましたということに。
段々になっているのは、海岸段丘の名残りなのかもしれません。

ちなみに、『鬼平犯科帳』、『剣客商売』、『仕掛人・藤枝梅安』、『真田太平記』などの歴史小説で知られる池波正太郎(いけなみしょうたろう)はこの待乳山聖天の傍(東京市浅草区聖天町)で大正12年に生誕しています。

待乳山
待乳山
安藤広重『東都名所 真土山之図』
東京23区の最低峰は、浅草にある名峰・待乳山!
所在地 東京都台東区浅草7-4-1
場所 待乳山
関連HP 待乳山聖天公式ホームページ
電車・バスで 東京メトロ銀座線・都営地下鉄浅草線・東武スカイツリー線浅草駅から徒歩10分
ドライブで 首都高速駒形ICから約1.3km
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 待乳山聖天 TEL:03-3874-2030/FAX:03-3874-5280
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
待乳山聖天スロープカー

待乳山聖天スロープカー

東京都台東区浅草、浅草寺(せんそうじ)の子院で、聖観音宗の寺・本龍院は、待乳山聖天(まつちやましょうでん)として有名。隅田川沿いの東京都道314号(言問大谷田線)と高台に位置する境内とを結び、さくらレールと呼ばれる待乳山聖天スロープカーが

待乳山聖天(本龍院)

待乳山聖天(本龍院)

東京都台東区浅草にある聖観音宗の寺、本龍院。浅草寺の子院のひとつで、山号の待乳山、本尊の歓喜天(聖天)から待乳山聖天(まつちやましょうでん)と称されています。奈良県生駒市の生駒聖天(宝山寺)、埼玉県熊谷市の妻沼聖天(歓喜院)とともに日本三大

待乳山

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