東京都品川区北品川1丁目にある京急本線の駅が、北品川駅。京急本線は品川駅を発車すると、最初の駅が北品川駅で、その距離は0.7kmほど。快特や特急などの利用者が多いため、車窓から駅名標を眺めることが多いかもしれませんが、品川駅のほぼ真南にあるので、南品川駅という感じです。なぜ「北品川駅」なのでしょう。
東海道・品川宿の北端というのが北品川駅の名の由来

北品川駅は京浜急行電鉄の前身、京浜電気鉄道線の始発駅として明治37年5月8日、品川駅として開業。
大正13年4月、現在の国道一号(現・国道15号)改修で、200mほど横浜寄りに移動しています。
大正14年3月11日、現在の品川プリンスホテル近く、ウイング高輪の場所にあった高輪駅まで線路(東京市電への乗り入れを図るため馬車軌間で敷設)が延伸し、北品川駅に改称。
東京市電が北品川駅まで乗り入れるようになりました。
京浜電気鉄道線(現在の京急)は、昭和8年4月1日に現在の軌間(1435 mm)に改軌し、高輪駅を廃止、代わって省鉄・品川駅(現・JR品川駅)に併設するかたちで京浜電気鉄道・品川駅が誕生、北側に品川駅、南側に北品川駅という関係になったのです。
そもそもなぜ北品川駅だったのかといえば、その歴史的な背景から。
駅のある場所は、実は東海道で繁栄していた品川宿の北端。
つまりは「品川宿の北」で北品川駅と、実にわかりやすい関係性だったのです。
開業時の住所も、荏原郡品川町大字北品川宿。
しいていえば北品川宿駅でしょうが、いまさら宿場名もおかしいということで、北品川駅としたのでしょう。
逆に品川駅は、港区高輪3丁目。
そちらが本来は高輪駅であるべき、というのも正論ですが、明治5年10月15日(旧暦9月13日)に品川ステーションとして新橋〜横浜開業時にスタートした歴史ある駅なので、品川駅であることはこちらがルーツ。
京浜電気鉄道としては、当初は北品川駅が起点で、省線(現・JR)への乗り継ぎを想定していなかった(むしろ東京市電との連絡を重視していました)ので、品川駅のことは眼中になかったのだと推測できます。
今さら南品川駅に変えるのも変、ということで、「品川駅の南に北品川駅」はこれからも続くのです。

品川駅の南に、なぜ「北品川駅」があるのでしょう? | |
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