中央線快速にグリーン車の導入が発表されたのは2015年。当初は「2020年度に導入予定」だったものが2018年に、2023年度末に延期されましたが、現在は、2024年度末というスケジュール。「オレンジで2階建て」のグリーン車は東京駅〜大月駅、東京駅〜青梅駅に走る予定です。
4号車、5号車が2階建てグリーン車に
現在の中央線快速は10両編成ですが、これに2階建てのグリーン車2両(4号車、5号車)を入れて、12両編成での運転に。
その結果、12両編成に対応できるよう、ホームの延伸工事も行なわれています。
グリーン車は2階建てのため、東京駅での折り返し運転で、乗り降りに時間を要すれば、列車遅延の原因になりかねません。
そこで、これまでの2階建てドアとは異なり、幅1300mmの両開きドアを採用しています。
2階建てのグリーン車が登場したのは、国鉄が分割民営化され、JR東日本へと変わった後の1989年3月で、東海道線に快速「アクティー」が新設され、2階建てのグリーン車が誕生しています(東海道新幹線では2階建て車両が4両という新型車両100系「グランドひかり」が登場した年です)。
現在、JR東日本では東海道線、宇都宮線・高崎線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)、横須賀線、総武線快速、常磐線快速(中距離電車)に2階建てグリーン車を連結していますが、中央線の普通列車、快速列車では初登場となります。
中央線には、快速のほか、中央特快、青梅特快、通勤特快、通勤快速などの速達列車を運転していますが、平均して混雑率が高く、1編成の快速10両の座席513人分に対し、定員は中間に運転室付きの車両を連結していないもので1564人。
仮に混雑率100%の状態だったとすれば、1051人が立っていることになります。
追加される2両が通常の車両だと、増える座席数は2両で最大108人分。
これに対して2階建てグリーン車を導入すれば2両で180人分の座席が増える計算に。
しかも通勤時には京王線の有料座席指定列車「京王ライナー」(新宿駅〜京王八王子駅)にも対抗できるとあって、ニーズもあると踏んだのです。
観光的にも奥多摩のハイキング、登山の往復に、そして中央線大月駅(富士急行線乗り換え駅)まで快速が乗り入れるため、2階建てグリーン車で大月駅まで、さらに富士急行の「富士山ビュー特急」に乗り継ぐことができるようになり、鉄道の旅がぐんと快適に(グリーン車にはトイレも設置されるほか、6号車に車椅子対応トイレが配置されます)。
なお、過去の宇都宮線・高崎線・常磐線での運用から推測して、営業開始までPRを兼ねてグリーン車の無料開放を行なう可能性もあり、JR東日本の発表に注目です。
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |