あまり知られていませんが、東京23区内にも数多くの廃駅があります。なかでも都心のターミナル駅として誕生、その後廃駅となったのが、現在の千代田区飯田橋3丁目にあった飯田町駅(いいだまちえき)です。明治28年4月3日、甲武鉄道の起点駅として開業したもので、現在の中央本線(中央線快速、中央・総武緩行線)にあたります。
飯田町駅は貨物駅として継続、平成11年3月9日に廃駅に

明治37年8月21日には、飯田町駅〜中野駅間に電車運転が開始されますが、これがまさに中央線快速の前身、そして国電の元祖です(明治39年10月1日、甲武鉄道は鉄道国有法により国有化)。
明治時代に線路の敷設しやすいということで、外堀のなかに鉄道を敷設、明治37年12月31日に飯田町駅〜御茶ノ水駅が延伸開業し、起点駅ではなくなりましたが、関東大震災からの帝都復興計画の中で、昭和3年、飯田町駅〜新宿駅を複々線化。
現在は中央線快速と中央・総武緩行線に分けられていますが、当初は貨客分離を目的とした複々線化でした。
この複々線化に際し、牛込駅と飯田町駅を統合し飯田橋駅が開業、飯田町駅の電車線の列車は入線せず、貨物駅に転じました。
それでも中央本線の長距離列車は、現在のように東京駅、新宿駅始発ではなく、飯田町駅を始発駅とし、総武線の両国駅同様にターミナル駅として機能していました。
昭和8年、ターミナル駅としての機能を新宿駅に譲って旅客営業を廃止、旅客用のホームが取り壊されています。
貨物駅としての役割は平成まで続き、平成11年3月9日についに廃駅に。
一帯は再開発され、現在はアイガーデンエア(I-GARDEN AIR)となっています。
大和ハウス東京ビルの建つ場所が、飯田町駅の駅舎のあったところ。
飯田橋駅側からのアプローチ部分となる飯田橋エントランスには、中央街区に向かいレールが伸びる演出もあり、甲武鉄道時代のターミナル駅としての歴史を思い起こすことができる仕掛けに。
【東京の廃駅】飯田町駅(明治28年〜平成11年) | |
所在地 | 東京都千代田区飯田橋3-10 |
電車・バスで | JR・都営地下鉄水道橋駅から徒歩5分。JR・東京メトロ・都営地下鉄飯田橋駅から徒歩7分 |
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