東京都足立区梅島2丁目にある稲荷社が、小右衛門稲荷神社。元和2年(1616年)、岩槻藩士・渡部小右衛門が一帯に小右衛門新田を開拓、その鎮守として倉稲魂命(うかのみたまのみこと)を勧請して創建した神社で、境内には昭和7年築造という小右衛門富士(富士塚)があります。
境内には丸藤一心講が築いた富士塚も
『武州足立郡淵江領新田村小右衛門稲荷大明神縁起』によれば、岩槻藩士(いわつきはんし)・渡部小右衛門は、同僚の高橋伴右衛門を討ち、密かに城下を退き、足立郡島根に潜伏。
高橋伴右衛門の霊を慰めるため、倉稲魂命を勧請し、稲荷神社を創建したと伝えられています。
墓地に渡部小右衛門の墓が現存。
絵馬は、眼病平癒の願いを込めた左右対称の「めめ絵馬」(向かい目絵馬)。
薬師如来に奉納されるもので、薬師如来を祀った堂があるのは、神仏習合時代の名残り。
小右衛門富士(富士塚)の標高は2.3m、丸藤一心講が築いた小さな塚ですがちゃんと合目を表す標石も配され、登頂することができます(建造当時は4mほどありました)。
足立区には花畑浅間神社、保木間氷川神社、鷲神社、綾瀬稲荷神社など多くの富士塚が現存し、富士講が隆盛していたことがよくわかります。
富士講は江戸時代から神仏分離の荒波をくぐり抜け、昭和初期まで隆盛し、第二次世界大戦などの影響もあってその後廃れましたが、小右衛門富士は、富士講最後の時代に築かれた塚ということになります。
小右衛門稲荷神社(小右衛門富士) | |
名称 | 小右衛門稲荷神社(小右衛門富士)/こえもんいなりじんじゃ(こえもんふじ) |
所在地 | 東京都足立区梅島2-24-23 |
電車・バスで | 東武梅島駅から10分、西新井駅から徒歩15分 |
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