銀座木村家

東京都中央区銀座4丁目、明治2年創業の老舗パンメーカーが、銀座木村家。明治7年、初代当主・木村安兵衛が酒種まんじゅうにヒントを得て考案、昭和8年には明治天皇にも献上されて名物となったあんぱんは、あまりにも有名。今も銀座の一等地でできたてのパンを提供しています。

銀座で作られたパンが、1階店舗で販売、2階喫茶で味わうことも

明治8年4月4日、東京・向島の水戸藩下屋敷を行幸された明治天皇に初めて酒種桜あんぱんを献上したのが銀座木村家のあんぱんの始まり。
桜の時期だったため、あんぱんのへそに奈良・吉野山から取り寄せた八重桜の花びらの塩漬けが埋め込まれたのです。
このことから、4月4日は「あんぱんの日」になっているのです。

日本で初めてジャムパンを生み出したのは、3代目の木村儀四郎。
日本陸軍が戦地で火を使って飯を炊く危険を避けるため、パン屋、菓子屋を集めて缶詰めのビスケットを開発、ビスケットの生地にジャムをはさんで焼く代わりに酒種生地にジャムを入れてジャムパンが誕生したのです。

こうした歴史を詰め込んだ銀座4丁目に銀座木村家の現在の建物は、木村屋の100周年を記念して建てられたもの。
7・8階の工場で作られた焼きたてを販売する酒種あんぱんは、へその部分に八重桜の塩漬けがついた「桜あんぱん」をはじめ、表面にけしの実がちりばめられた「けしあんぱん」、うぐいすあんなどの定番が5種、その他、栗やチーズクリーム、季節のあんぱんも販売しています。

パン作りは、毎朝お米をとぎ、酒種をつくるところから始まるという昔ながらの製法。
「冷めたパンをお客様にお出しするわけにはいかない」ということから、今も銀座の一等地でパン作りを行なっています。
最近では、「日本で最古のパン屋さん」と海外でも紹介され、海外から訪れる人も増えているとか。

1階のベーカリーでは、この酒種あんぱんをはじめ、食パン、惣菜パンなど、130種以上のパンが並んで壮観。
2階にはあんぱんセット（ドリンク付き）はもちろん、ビーフヒレカツサンドやデザートが味わえる喫茶、3階にはビーフシチューやズワイ蟹のクリームコロッケ、オムライスなどの洋食グリル、4階にはランチプレート、ディナーコースも供するフレンチビストロ「アーブルヴィラージュ」が備わっています。

ちなみにスーパーなどで目にする包装紙には木村屋總本家と表示されていますが、その本家本元である銀座の本店は、銀座木村家で、直営店向け製品のブランド名に、木村屋總本店はスーパー・コンビニ向け製品のブランド名となっています（会社も別会社になっています）。
創業時の屋号は「木村屋」で、後に木村屋總本店となっており、普段よく目にするのは、この木村屋總本店ということに。