2024年7月3日に発行が始まる新1万円札。表面は、「傑出した業績を残し、新たな産業の育成といった面からも日本の近代化をリードして、大きく貢献した」渋沢栄一を描いています。では、裏面に描かれた建物は何でしょう? 渋沢栄一が埼玉県の現・深谷市に築いた日本煉瓦製造のレンガを使った東京駅です。
東京駅丸の内北口の交差点から、同アングルで撮影可能
渋沢栄一といえば明治20年創立の日本煉瓦製造(にほんれんがせいぞう)で、明治期に「一丁倫敦」(いっちょうろんどん)と称された丸の内の煉瓦街(岩崎弥之助が率いる「三菱社」がロンドンの金融街「ロンバード・ストリート」を参考に建設、三菱第一号館は明治25年着工)のレンガは、この渋沢栄一の工場で焼成したものです。
渋沢栄一ゆかりの「レンガのまち深谷」は、今回の新1万円札で大いに湧いていますが、裏面に描かれた東京駅丸ノ内本屋(国の重要文化財)のレンガも、やはり日本煉瓦製造で焼成。
東京駅には927万個のレンガが使用されていますが、そのうち日本煉瓦製造のレンガが833万個、品川白煉瓦(現・品川リフラクトリーズ)が生産したレンガが94万個となっていて、圧倒的に深谷産ということになります。
表面が渋沢栄一なら裏面東京駅というのは、実にシンプルなつながりで、今回は新5000円札の津田梅子とノダフジ、新1000円札の北里柴三郎(きたさとしばさぶろう)と葛飾北斎『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』にも関連性はないので、なぜか新1万円札でのみ密接な関連性をもたせたということになり、「レンガのまち深谷」の注目度アップにも貢献することになるでしょう。
国の重要文化財に指定される東京駅丸ノ内本屋は、行幸通りの正面に位置し、辰野金吾の設計で、明治41年3月25日着工、大正3年12月14日に竣工。
そのシンボルとなるのが、八角形の南北ドームで、東京駅丸の内南口、北口にあたります。
今回採用された絵柄は、公表されてはいませんが、北口のドームだと推測できるので、東京駅に行く機会があったなら、ぜひ同じ位置から記念撮影を。
新1万円札の表面は渋沢栄一、では裏面に描かれた建物は!? | |
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