山上たつひこ原作のギャグ漫画『がきデカ』。主人公・こまわり君が、劇画調の画風のなかで大活躍。『少年チャンピオン』(昭和49年44号〜昭和52年52号)までの連載で、こまわり君が放つ「あふりか象が好きっ!」「八丈島のキョンっ!」というセリフも一世風靡しました。はたして八丈島にキョンはいるのでしょうか?
「八丈島のキョンっ!」、実は特定外来生物

千葉県では、閉園となった行川アイランド(鴨川市)から1960年代に脱走したと推測されるキョンが大繁殖し、多大な農業被害を生んでいるため、捕獲作戦を展開。
つまりは、環境省の指定する特定外来生物ということになりますが、ギャグ漫画『がきデカ』の頃は、一部の動物園で飼育される希少な動物でした。
作者の山上たつひこのアトリエは、『がきデカ』執筆時は、練馬区大泉の一軒家。
当時、「東洋のハワイ」ともいわれた八丈島には、昭和48年、東海汽船の大型貨客船「さるびあ丸」(初代)が就航、羽田と結んだフライトもあったので、作者自身が八丈島を訪れたということに。
地元、八丈島の観光関係者の話によると、峯元清次・八丈町長から「ぜひ、八丈島を宣伝してほしい」と依頼があり、そこで生まれたのが「八丈島のキョンっ!」だったとのこと。
実はこまわり君の「八丈島のキョンっ!」のキョンのモデルは、八丈植物公園・園地ゾーンに飼育されるキョン。
八丈島の島内では今も昔も島の中では八丈植物公園の中で飼育されているだけです。
『がきデカ』の大ヒットで、『少年チャンピオン』の部数が『少年ジャンプ』を上回るという時代には、「八丈島には天然記念物のキョンが生育している」と信じ込んでいる人も多かったとか。
沖の無人島・八丈小島にキョンが生育という話は、野生化したヤギ(有人島時代に飼育されていたヤギが野生化)と混同した話です。
空港でレンタカーを借りたらまっ先に空港横の八丈植物公園に立ち寄る人の多くは、この「八丈島のキョンっ!」がお目当ての年配の人。
飼育されるキョンは人懐こい目で、『がきデカ』世代の来訪者を迎えてくれます。

こまわり君の名セリフ「八丈島のキョンっ!」を探せ! | |
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