離着陸最難関の飛行場は、八丈島空港! それでも就航率95%を誇る理由は!?

八丈島空港

ANAが運航する飛行場で、離着陸の難易度を表す「飛行場区分」は、A〜Dの4種類。もっともイージーな飛行場がカテゴリーAで、最難関がカテゴリーD(デルタ)となります。日本国内にカテゴリーD(デルタ)の飛行場はただ1ヶ所のみ。それが、羽田から55分のフライトで到着する八丈島空港(東京都八丈町)です。

ANAが運航する飛行場で、離着陸最難関の滑走路

八丈島空港

昭和2年、海軍飛行場として首都圏防衛を担って誕生した八丈島空港。
現在はANAが羽田空港との間で定期便を飛ばしていますが、昭和30年、日本ヘリコプター輸送(ANAの前身)の時代に東京(羽田)〜八丈島間で定期便運航が始まった歴史ある路線です。
当時、八丈島は「東洋のハワイ」で売り出し、東京都下ながら雪や霜のない、バナナも自生する温暖な地をPRし、観光誘客を図っていました。

令和7年年4月13日、ANAは八丈島就航70周年を迎えましたが、そこで再注目されているのが、「日本最難関の空港」という点。
当初は村営の飛行場(滑走路1200m)で、「デ・ハビランド・ダブ」(11席)などのプロペラ機で運航していましたが、滑走路も2000mにまで拡充され、現在はボーイング737-800(166席)もしくはエアバスA320(146席)が使用機材になっています。

伊豆諸島初のジェット化を実現したのも、このカテゴリーD(デルタ)という条件と、ANAが毎日3往復全6便で運航するという需要から。
ANAが社内で策定している離着陸の難しさを表す「飛行場区分」では国内空港で唯一、カテゴリー・デルタ(D)になっているのが八丈島空港。

その理由は、八丈島の地形にあります。
三原山と八丈富士の2つの山から吹き下ろす風によって、常に気流が乱れているから。
周囲は黒潮(本流)流れる海で、その水蒸気が山にぶつかり雲も湧きやすい状況に。

風に対しては着陸可否を判断する厳しい制限値が設けられていますが、それでもパイロットにはかなりの技術が要求され、地上運航従事者の長年にわたる経験、蓄積されたデータが、安全運航を支えています。
「島曇り」という島特有の雲や霧の多い日には(とくに梅雨時の視界不良)、実際に地上運航従事者が滑走路の端に立ち、気象条件を目視し、パイロットに伝えているのです。
あと5分ほどでよくなる見込みということなら飛行機は上空で待機、改善されないようなら引き返すという、燃料の残量(羽田に戻る分の燃料)と待機時間と計算して、地上からの情報をもとに機長が判断しているのです。
さらに荷物の搭載なども八丈島独特の手法で、荷崩れしないように積載しています。

GPSの利用、そして熟達した地上支援があり、90%だった就航率も95%まで改善。
悪天候の際、スタッフの技術と経験で、なんとか無事に着陸した際、機内と、空港ロビーで拍手、喝采が湧き上がるのは、カテゴリーD(デルタ)の八丈島空港らしい光景といえるでしょう。

八丈島空港
八丈島の地形雲が生み出す「島曇り」、雲の底が黒いのは気流の乱れを表しています
離着陸最難関の飛行場は、八丈島空港! それでも就航率95%を誇る理由は!?
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