古書店が並ぶ東京神田・神保町。明大・駿河台キャンパスなどがあることで「日本のカルチェ・ラタン」とも称された界隈です。そんな神保町で、今も開店前から並ぶという「昭和ノスタルジー 純喫茶」が「さぼうる」。神保超界隈で学生生活を送った人には懐かしい名前かもしれません。
薄暗いランプの光が灯り、山小屋的な雰囲気も

日本全国から街の喫茶店が消える中、「純喫茶」という存在が脚光を浴びつつあります。
チェーン店にはない独特な雰囲気、個性的なメニュー、そして不思議な時間の流れ・・・。
地域性も加味されて、マニュアル化されることのない独自性と、長年にわたって常連に支えられてきた独自の「文化」がそこにはあります。
いささか古めかしい定義ですが、純喫茶は「酒類を扱わず、ホステス等による接客を伴わない純粋な喫茶店」。
高度経済成長に伴って文化人のサロンとして各地に誕生しましたが、チェーン化したカフェの台頭で、多くは廃業に。
残された店は、常連に支えられ、マスターが奮闘する、実に貴重な昭和の文化ということに。
そしてその筆頭が、「さぼうる」。
創業は、昭和30年。
薄暗いランプの光が灯り、山小屋的な雰囲気も。
神田の古書店に訪れる人は、山好きな人も多かったということもあり、山小屋的な雰囲気、民芸調にしたのかもしれません(全部で3フロアの構成、内装は、創業者がすべて考案)。
長年マスターとして愛されてきた鈴木文雄さんは3代目、そして現在の店長の伊藤雅史さんは、4代目となります。
これまでの常連では、遠藤周作、逢坂剛(おうさかごう)、谷村新司と錚々たる名前が並びます。
逢坂剛に至っては大学(中央大学法学部)時代からの常連です(神田神保町にオフィスを構える作家)。
スペイン語で「味」を意味するsabor

昭和レトロの極みが、メニューのナポリタン、プリンアラモード、いちごジュース、そしてクリームソーダ。
クリームソーダに至っては、なんと赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫、白と7色に分かれ、フォトジェニックなのです。
コーヒーは、豆の選定から抽出までこだわり抜いた一杯ですが、深いコクと豊かな香りが特徴で、さらっとしたアメリカンを飲み慣れた若い人には濃く感じるかもしれません。
それが、昭和の純喫茶のコーヒーの味(全国津々浦々にそうした味のコーヒーを出す店がありました)。
さぼうるという店名は、「日本のカルチェ・ラタン」と称された時代に、学生が授業を「さぼうる」ためだという人もいましたが、実際にはスペイン語で「味」(sabor)を意味する言葉。
随所にあるいたずら書き(落書き)は、当時は「バレないように書けばOK」という暗黙の了解があったから。
その落書きがさらに昭和な雰囲気を高めているのです(現在は落書き禁止に)。
ちなみに、さぼうる本店は、昼は純喫茶ですが、夜は「珈琲と洋酒の店」に変身。
夕方以降は、ちょっぴり大人の空間になっているので、ぜひジャケットでも着用し、文化人を気取って入店を。
支店の「さぼうる2」がありますが、こちらは軽食の店で、雰囲気は大きく異なります。


| 東京で昭和レトロを体感(1) 純喫茶「さぼうる」 | |
| 名称 | 純喫茶「さぼうる」/じゅんきっさ「さぼうる」 |
| 所在地 | 東京都千代田区神田神保町1-11 |
| 電車・バスで | 都営地下鉄・東京メトロ神保町駅から徒歩すぐ、JR御茶ノ水駅から徒歩6分 |
| 問い合わせ | 純喫茶「さぼうる」 TEL:03-3291-8404 |
| 掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 | |













