東京都台東区谷中2丁目、江戸千代紙(EDO figured paper)のただ一軒の版元が、菊寿堂いせ辰で、谷中・三崎坂にあるのが谷中本店。幕末の元治元年(1864年)の創業という江戸千代紙の老舗で、手刷りの千代紙は、かなり高価ですが、機械刷りならお手頃です。
手漉き奉書紙を使い、昔のままに手刷り

江戸千代紙とは、華やかな色彩の模様を和紙に木版で手摺りしたもの。
もともとは、宮中で使われた短歌などを記す和紙に模様が施されたのが始まりで、江戸時代に大名家に伝わり、やがて庶民に普及、江戸文化として花開いたということに。
手刷りの千代紙は、江戸時代と変わらぬ手法で、彫師が色ごとに刷った版木を摺師が丹念に刷り重ねていくという、ミリ単位の正確さと根気を要する高度な技術。
実は、錦絵(浮世絵)と同じ工程を踏まえるため、非常に手間ひまがかかるのです。
高価ですが、耐久性もあり、歳月を経るほどにしっとりと馴染むのが不思議な逸品。
和紙は愛媛の手漉き奉書紙を中心に使い、版木は版ズレを防ぐため20年以上寝かせて乾燥させた桜の木です。
絵柄のモチーフは、花鳥風月、江戸時代に人気を博した歌舞伎といった風俗習慣、さらには伝統的な衣装の柄など豊富です。
包み紙や菓子敷き、そして姉さま人形を作ったりと、様々な使われ方をしてきました。
菊寿堂いせ辰 谷中本店でも、千代紙の柄をいかした風呂敷など、和風小物も販売されていて、近年は訪日外国人客も大注目。
SNSで知ったという遠来の訪問客も多数で、クリスマスカード、メニューの紙として、ノートのカバーなど用途もワールドワイドに広がっています。
谷中に店を移したのは昭和17年で、関東大震災を経験し、上野の山と山続きの高台なら、地震にも強いという判断からとのこと。
菊寿堂いせ辰 谷中本店 | |
名称 | 菊寿堂いせ辰 谷中本店/きくじゅどういせたつ やなかほんてん |
所在地 | 東京都台東区谷中2-18-9 |
関連HP | 菊寿堂いせ辰公式ホームページ |
電車・バスで | 東京メトロ千駄木駅から徒歩5分 |
駐車場 | なし |
問い合わせ | 菊寿堂いせ辰 谷中本店 TEL:03-3823-1453/FAX:03-3823-1458 |
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