レアな馬車軌間の路面電車、『東急世田谷線開通100周年』

2025年5月1日(木)、東急世田谷線・三軒茶屋~下高井戸間が開通100周年を迎えます。そのため2025年2月29日(火・祝)〜2026年3月31日(火)の間、様々なイベントが実施される予定です。
現在は、世田谷線300系8編成に、記念ヘッドマークが付けられています。

多摩川の砂利輸送を担って開業

東急世田谷線は、玉川電気鉄道(玉電)玉川線の支線として、1925年1月18日に三軒茶屋~世田谷間、5月1日に世田谷~下高井戸間が開通したのが始まり。
本線である玉川線は、渋谷と二子玉川園(現・二子玉川駅)を結ぶ軌道(路面電車)で、多摩川の砂利輸送と大山街道沿線の旅客輸送を担っていました。

1969年に交通渋滞の元凶ということで、下高井戸線(現・世田谷線)を除いて廃止され、その代わりに地下に新玉川線(現在の田園都市線の一部)が敷設、輸送力も強化されました。

結果として、軌道(路面電車)だった本線が廃止され、支線の世田谷線が残ったかたちに。
渋谷で、東京市電(都電の前身)と接続していたため、東京軌間の1372mmという東京市電のルーツである東京馬車鉄道由来という特殊な馬車軌間に合わせて敷設、現在もその軌間のままになっています。

4フィート6インチ軌間、英語圏ではスコッチゲージ(Scotch gauge)とも称される馬車軌間は、国内では京王線と都営地下鉄新宿線、都電荒川線(東京さくらトラム)、函館市電、そしてこの世田谷線だけです。
つまりは私鉄の軌道線としては唯一の馬車軌間ということになり、世田谷線の歴史を物語っています。

100周年のアニバーサリーイヤーを祝うさまざまな企画のなかで、目下注目は、開通当時から現在までの写真で車内中づり広告を飾る「なつかしのギャラリートレイン」の運行。
301編成の1編成だけですが、2025年5月31日(土)まで、「なつかしのギャラリートレイン」として運行されています。

玉川線と世田谷線の歴史

年月日内容
1907年3月6日玉川電気鉄道の道玄坂上〜三軒茶屋間開業
1907年4月1日三軒茶屋 – 玉川間開業
1907年8月11日渋谷〜道玄坂上間開業
1920年9月11日東京市電乗り入れのため軌間を1067mmから1372mmに改軌
1925年1月18日玉川電気鉄道玉川線の支線として三軒茶屋~世田谷間開業
1925年5月1日世田谷~下高井戸間が開業
1938年4月1日玉川電気鉄道が東京横浜電鉄(現:東京急行電鉄)に合併
1969年5月11日下高井戸線(現・世田谷線/三軒茶屋〜下高井戸)を除いて廃止
1996年11月15日三軒茶屋に複合ビル「キャロットタワー」が竣工
低層棟に世田谷線三軒茶屋駅を移設
1998年三軒茶屋駅が「関東の駅百選」に選定
「煉瓦造りの高層ビルの中でヨーロッパ風の駅舎にレトロな路面電車が走る駅」
2001年2月ホームの高さをかさ上げし、スロープを設置してノンステップでの乗降が可能に
2017年9月25日「玉電」の開通110周年記念イベントで「幸福の招き猫電車」が登場
2019年3月運行や駅設備で利用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替え
再生可能エネルギー100%の電力で電車を終日走らせる取り組みは日本初
2025年5月1日三軒茶屋~下高井戸間が開通100周年
「幸福の招き猫電車」
「幸福の招き猫電車」
レアな馬車軌間の路面電車、『東急世田谷線開通100周年』
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