千住名物「お化け煙突」はどこにあった!?

お化け煙突

『煙突の見える場所』、『東京物語』など1950年代の映画によく登場するのが、千住の「お化け煙突」。巨大の4本の煙突で、その巨大さと車窓から見た際に、煙突の本数が変わることが名の由来です。取り壊されたのは、昭和39年8月のこと。では、どこにあったのでしょうか。

映画『煙突の見える場所』、人気漫画の『こち亀』にも登場!

お化け煙突

『1964年東京オリンピック』開催直前の昭和39年8月に取り壊された、「お化け煙突」。
大正12年の関東大震災後の帝都復興と都市計画の見直し(東京市の電化)で、南足立郡千住町(現在の足立区千住桜木)に新火力発電所が建設予定地となりました。

隅田川の舟運が活用できる点(燃料の石炭を搬入できる)、貨物駅として隅田川駅があったことなどから千住火力発電所を建設、大正15年1月に運転が始まりました。

高さ83.82mという4本の煙突は、関東大震災で被災した東京府東京市浅草区浅草南元町(現・東京都台東区蔵前)の浅草火力発電所から倒壊を免れたレンガ造りの3本を移設、昭和2年2月に1本を増設。
こうして4本が並ぶ姿が、千住のシンボルとなったのです。

とくに昭和28年公開の映画『煙突の見える場所』(主演・田中絹代、上原謙、監督・五所平之助)に登場して一躍全国区に。
さらに秋本治(あきもとおさむ)が『週刊少年ジャンプ』に連載した人気漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』にも両津勘吉の少年時代を描いた回に登場(単行本59巻「お化け煙突が消えた日」)。
また、早乙女勝元原作の小説をアニメ化した『おばけ煙突のうた』も平成5年に公開され、今も語り継がれる煙突になっています。

荒川に架かる西新井橋西側の現・東京都足立区本木1丁目27番地先の荒川河川敷は、お化け煙突を置いて眺めると1本に見えるスポットにもなっていました。
また、その逆に、当時の足立区役所(現・あだち産業芸術プラザ)も1本に見える場所となっていました。
実はこの煙突、上から見ると「ひし形」の形に作られたため、見る場所によって煙突が重なり、本数が変わるということに。

戦後も原料の石炭を重油に変更して存続しましたが、新東京火力発電所(江東区豊洲6丁目/テプコ豊洲ビル、地下式の新豊洲変電所誕生で、平成12年に廃止)が昭和38年5月に稼働を終了。

「お化け煙突」と通称された4本の煙突も破却が決まりましたが、反対運動が起き、反対する人が煙突によじ上るという事件も発生。
昭和39年8月26日に地元住民などによる「煙突とお別れの会」が開催され、取り壊されました。

跡地は現在、東京電力パワーグリッド北千住変電所になっています。

お化け煙突
映画『煙突の見える場所』で一躍有名に
お化け煙突
西新井橋(当時)からお化け煙突を眺望
千住名物「お化け煙突」はどこにあった!?
所在地 東京都足立区千住桜木1-13-2
電車・バスで JR・東京メトロ・東武鉄道北千住駅から徒歩25分
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お化け煙突

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