東京都八丈町、伊豆七島のひとつでもある八丈島の玄関港・底土港横にあるのが神湊港(かみなとこう)。かつては八丈島の表玄関だった港で、現在は神湊漁港が正式名です。この神湊港のもっとも長いA防波堤が通称、「軍艦堤防」。実は、終戦直後に駆逐艦「矢竹」(やだけ)が沈設されています。
釣りのポイントとなっている堤防には軍艦が眠っている!

外洋に面しているため釣りのポイントともなっている場所で、キハダマグロ、カンパチなどの大物が釣れることもあるため、ここを常連の釣り人も多いのだとか。
地元の地図をみると、A堤防と記された堤防に軍艦と記されています。
現地の構造と比較して見ると、先端部と中央に2基設置された航路標識(灯台)の間が、異様にコンクリートの塊があることに気が付きますが、このコンクリートの中に眠るのが駆逐艦「矢竹」ですが、とてもその姿は確認できません。
駆逐艦「矢竹」は、「第5494号艦」として1945年1月2日横須賀で起工。
2月5日に「矢竹」と命名されましたが、戦争の激化で生産能力を失って4月17日建造工事が中止に。
未完成のまま、廃船となり、終戦後ここに防波堤として沈められ、その後、港の拡張でコンクリートの中に姿を消したもの。
堤防の基部には神湊海水浴場があるので、夏は海水浴を楽しむ平和な姿を見ることができますが、その先に駆逐艦が眠っていることを知る人は今では少なくなっています。
神湊港を見下ろす高台は、首都圏防衛の前線基地として、戦時中は神止山連隊司令部が置かれた場所ですが、江戸時代には江戸や伊豆と結んだ廻船の到着を視認し、狼煙(のろし)を上げたという火立て場(ほたてば=八丈八景『神湊帰帆』の景観)でもあり、いかに港湾として重要だったのかがよくわかります。
八丈島・神湊港にある、知られざる「軍艦堤防」とは!? | |
所在地 | 東京都八丈町三根 |
場所 | 軍艦堤防(神湊港A防波堤) |
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