気象庁・火山噴火予知連絡会が定める日本国内の活火山は、北方領土を含め111もありますが、実は伊豆諸島は北端の伊豆大島から南端の孀婦岩(そうふがん)に至るまで12もの活火山が連なっています。実は火山は金鉱脈を生み出す製造所でもあり、伊豆諸島の地下には金鉱脈が眠っている可能性が大なのです。
伊豆諸島の海底に湧く温泉水からゴールドラッシュ!?
火山の寿命は人間のおよそ1万倍の数十万年〜100万年。
火山が誕生して、50万年ほど経過するとマグマの熱で温められた地下水が大規模に循環を開始し、熱水にマグマから分離した、金を含む熱水が加わり、岩盤の割れ目を通って地表に流出します。
このとき、金と石英が割れ目に沈殿し、金を含んだ石英脈が誕生、実はこれが金鉱脈ができるメカニズムなのです。
有名な佐渡金山も2000万年前の火山活動で形成された金鉱脈があるから。
岩盤の隙間をぬって、熱水が地中深くの岩石から溶け出した石英や金、銀などの鉱物を溶かし込んで何度も上昇、そして堆積した結果、長さ2100m、深さ500m、幅6mにも及ぶ相川金銀山最大の鉱脈とされる青盤脈(あおばんみゃく)などを生んだのです。
同じメカニズムが、火山列島・伊豆諸島でも考えられるのですが、実際に現在進行系の「金鉱脈誕生プロセス」が行なわれていることも判明してます。
それが、八丈島の南、青ヶ島沖です。
東京大学の研究チームは2015年、青ヶ島沖の水深700mの深海から世界トップクラスの高濃度の金を含んだ熱水が噴出していることを突き止め、250度ほどの熱水を噴き上げる数百の熱水噴出孔があることも確認しています。
伊豆諸島にはこうした熱水が噴出する場所は過去にも確認されており、珍しいことではありませんが、採取した岩石を詳しく分析すると、平均で1tあたり17gという高濃度の金を含有していることが判明、通常の金山の金鉱脈でさえ1tあたりだと3g〜5gくらいなので、数倍の濃度での含有量という目を疑うような濃度だったのです。
その後、海洋研究開発機構による探査ロボットを使った5回の調査で、通常の鉱山で1tあたりだと3g(3PPM)という濃度がもっとも高濃度の場所では170g(170PPM)という驚異的な数字を記録したのです。
海洋研究開発機構は、IHIの技術開発本部の協力を受け、玉川温泉(秋田県仙北市)で温泉水から金の回収に成功しています(ラン藻を特殊なシート状に加工したものを使って温泉水から金を吸着・回収)。
実験では金鉱山で採掘するよりも高い濃度で金を回収することが可能ということも判明、伊豆諸島かの海底で湧き出す熱水の活用への期待がさらに高まったのです。
金が高濃度で凝縮されるメカニズムは定かでありませんが、青ヶ島で噴出する270度という温泉水が、ちょうど金を溶かすのに最適な温度とも推測でき、この温泉水を藻を使ったフィルターで濾せば、金が残るという手法です。
金の高騰が続き、20年間で10倍にも値上がっていますが、「伊豆諸島の海底に湧く温泉水からゴールドラッシュ」という可能性も。
ただし、現状では、深海で金を採取するには莫大なコストがかかるのが大きなネックとなっています(現状では玉川温泉の方が効率的に採取できます)。
画像協力/海上保安庁
黄金の国ジパング復活! 火山列島・伊豆諸島の地下に金鉱脈が眠る!? | |
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