高尾山の遭難事故は、富士山、穂高岳を上回る!

高尾山

遭難の多い山といえば、その代名詞は「魔の山」と恐れられる谷川岳。一ノ倉沢のロッククライミングによる滑落事故が多く「遭難者数世界一」ともいわれてきました。さらに近年では熟年世代の遭難も多く、北アルプス穂高連峰や富士山でも遭難事故が多発。しかしそれを上回る遭難事故件数なのが高尾山です。

高尾山は、ピクニック気分で登る山ではない!

高尾山
転落事故の多い4号路

警察庁発表の2024年の山岳遭難は合計で2946件。
遭難者数は3357人、うち死者・行方不明者は300人となっています。

戦後の登山ブームで賑わった谷川岳は、1963年には遭難者が400人を超えるという異常事態(一ノ倉沢周辺は遭難が多発)も起こりましたが、2024年の遭難事故は26件、31名(4人が死亡)と大幅に減少しています(群馬県内では尾瀬21件、21人を凌いで1位でした)。

2024年の遭難者数だけを比べると、北アルプスの穂高連峰は66人、富士山83人となっています。
さてさて問題の高尾山は、それを上回る131人。
実は2023年も山岳遭難者が最も多かったのは高尾山(110件133人)で2位が富士山(97人)。
実は谷川岳はもちろんのこと、穂高や富士山をも上回る「魔の山」だということがわかるのです。

警視庁高尾署によると、2025年も多くの出動があったとのことで、体力を消耗し、下山途中に立ち上がれなくなった、つまずいて動けなくなったなど、普段のトレーニング不足が推測できる事故も多かったようです。
なかには熱中症で救急搬送された人も。

高尾山の場合は薬王院に参拝するための表参道でもっとも人気の「1号路」は、舗装された道。
この1号路を登りに使っても下りのルートは、それ以外だと山道に。
4号路には「転落事故あり」と記された標識も立っていますが、普段着の登山者も数多く見かける事態になっているのです(4号路ではたびたび滑落事故が発生し、死者も)。

高尾署は、2021年は70件ほどしかなかった遭難事故が倍増する勢いと登山者に警鐘を鳴らしています。
事故を起こした人に話を聞くと、「高尾山なら大丈夫だと思っていた」、「登ってみたら、思ったよりきつかった」、「下り道が大変で足が動かなくなった」などという人が多数。
日頃のトレーニング不足、あるいは高尾山で運動不足解消と安易に考えているため、事故が起きることになるのだとか。

道に迷うケースもあるので、非常食や懐中電灯程度はリュックに入れておくこと。
さらにトレッキングシューズ程度の靴は最低限、必要です(とくに下り道で重要です)。
子連れの場合は、親子で離れ離れにならないなど、登山の基本原則は高尾山にも通じることで、日没近くの山歩きの危険が伴います。

ちなみに2024年の遭難件数の多い場所は、丹沢山塊174人、秩父山系151人で、アルプスや富士山ではありません(高尾山は3位、単体の山としては1位の可能性も)。

高尾山
4号路を歩く際には足下の木の根、滑落に注意を
高尾山の遭難事故は、富士山、穂高岳を上回る!
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
高尾山

高尾山

関東山地(秩父山地)の東縁にある標高599.3mの霊山。標高500m付近に修験道で栄えた高尾山薬王院があり、その参詣目的で昭和2年にケーブルカーが開業しています。全長1697kmに及ぶ東海自然歩道の起点にもなっています。明治の森高尾国定公園

高尾山自然研究路

高尾山自然研究路(全7コース紹介)

東京都八王子市、明治の森高尾国定公園に゙指定される高尾山に設けられたハイキングコースが、高尾山自然研究路。1号路〜6号路の6コースと稲荷山コースが用意され、高尾山〜陣場山の縦走コースとつなぐくともできます。詳細や最新情報は「東京都高尾ビジタ

高尾山

関連記事

よく読まれている記事