東京のツキノワグマの生態を知ろう! そもそも何を食べている!?

ツキノワグマ

東京都内でも多摩地域(西から順に奥多摩町、檜原村、あきる野市、青梅市、八王子市、日の出町)にはツキノワグマが生息しています。ハイキングで人気の高尾山周辺も熊の生息地帯。そもそも東京都内に生息するツキノワグマは何を食べているのでしょう。冬眠前にはエネルギーの備蓄も必要で、遭遇するとかなり危険です。

八王子のツキノワグマは、絶滅危惧種に

東北や長野県などのツキノワグマは、どんぐり(ブナの実)の豊作、凶作によって、里への出没状況が変化するといわれ、凶作の年には、山の中に食べ物が不足するので、里に降りてきて畑を荒らすことが増えるという関係性があります。

実は東京都は、世界的にも珍しい「熊が生息している首都」。
ツキノワグマは、害獣のイメージもありますが、実は南多摩地域(八王子市)で絶滅危惧2類(VU=近い将来「絶滅危惧1類」のランクに移行することが確実と考えられるもの)、西多摩地域(奥多摩町、檜原村、あきる野市、青梅市、日の出町)で準絶滅危惧(NT=生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの)となっていて、保護するべき対象(保護上重要な野生生物種)にもなっています。

つまりは、高尾山のある八王子市では、絶滅危惧種的な存在で、奥多摩ではまだまだ生息数が多いということがわかります。

ツキノワグマは繁殖率が低いため、一度、ある一定以下まで生息数が減ってしまうと回復がとても難しい保護すべき動物である反面、養蜂場・養鶏場・養魚場などでの食害、スギ・ヒノキ林での樹皮剥ぎといった農林水産業被害、さらにはハイキングやキノコ採り、釣りの際に出くわしての人身被害をもたらす加害獣としての側面も有しています。

東京のツキノワグマは、冬眠明けの春にはブナやアザミなどの植物の若芽、花、山菜やタケノコを、餌の少ない夏場は、野生のサクラ類やキイチゴ類、ミズキなどの柔らかい木の実、ハチやアリ、クワガタムシなどの昆虫を主に食して命を繋いでします。

秋には、上手に木に登り、枝を折りながらドングリ(ミズナラ、ブナ)、クリ、クルミ、ヤマブドウなどの木の実を大量に食べて脂肪を蓄え、冬眠に備えています。
ドングリが不作の場合は、昆虫類を多めに食べる傾向も。
つまり、ツキノワグマは植物食が中心の雑食性。
本来はベジタリアンで、人間を見ても餌とは考えません。

人間に危害を加えるのはあくまで防御反応ということに。
嗅覚は、犬並に鋭いので、森や藪の中でこちらが気がついていなくても、ツキノワグマは人間がいることを認識しているのでしょう。
視力も人間以上といわれていますが、聴覚は高音に敏感で低音に鈍感なので、熊よけの鈴など高い音を出して人間の存在に気づかせるのも手ということに(知床など、人に慣れたヒグマは、熊よけの鈴が、熊寄せの鈴になりかねないと危惧するガイドもいます)。

1歳半になった子熊が親離れするのは夏場ですが、それ以下の子熊を連れた母熊に秋に出会うのはもっとも危険な状態で、できるだけ避けたいのが親子熊との遭遇です。

ツキノワグマ
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