殿ヶ谷戸庭園

三菱合資会社の専務理事などを務めた実業家・江口定条(えぐちさだえ)が大正初年に造園した庭園。国分寺崖線(こくぶんじがいせん)と呼ばれる段丘崖と、崖下に湧く豊富な湧水を巧みに生かして作庭された武蔵野らしい庭で、昭和4年に三菱財閥の岩崎彦弥太(いわさきひこやた)が買い取って洋風邸宅や茶室「紅葉亭」などを整備しています。

三菱財閥の岩崎彦弥太の庭園と邸宅が都立庭園に!


 

 
庭園の名前は、かつてこの地が国分寺村殿ヶ谷戸という地名だったから。
昭和49年に東京都が買収し、昭和54年に公開され、平成23年9月に国の名勝になっています。

国の名勝に指定されたのは、「大正から昭和初期の同時代に作庭された類似の武蔵野の別荘庭園の中でも当時の風致景観を最もよく残しており、その芸術上の価値も高い」から。

崖の上の明るい芝生と、崖下に湧く水を利用した池、その池を取り囲む森とのコントラスト。
その雰囲気を一変させる造園手法が大きな特長となっています。

国分寺崖線は「ハケ」と呼ばれ、崖下から湧く水は、「東京都の名湧水57選」に選定。湧水は次郎弁天池に流れ込み野川に注いでいます。

春のカタクリから始まり、初夏のホタルブクロ、ヤマユリ、秋のサワギキョウなど野の花も咲きます。
園内190本のイロハモミジが色づく紅葉は例年11月中旬~11月下旬が見頃。高台にある茶室「紅葉亭」からの眺めは絶景です。

国分寺崖線の上の明るい芝生
国分寺崖線下の鬱蒼とした次郎弁天池
国分寺崖線
多摩川が10万年以上の歳月をかけて武蔵野台地を削り取ってできた段丘。武蔵野の方言ではこれを「ハケ」、「ママ」と呼んでいます。立川市、国分寺市、小金井市、三鷹市、調布市、世田谷区などを通る段丘の周辺には樹林や湧水などが多く残り、武蔵野の動植物の宝庫となっています。世田谷区の等々力渓谷も国分寺崖線の一部。
崖下(ママ下)には湧水が多く、国分寺市の「お鷹の道・真姿の池湧水群」は環境庁の「全国名水百選」選定。お鷹の道という名は、一帯が、江戸時代に徳川御三家尾張藩の鷹狩の場だったから。

 

殿ヶ谷戸庭園
名称 殿ヶ谷戸庭園/とのがやとていえん
所在地 東京都国分寺市南町2-16
関連HP 東京都公園協会公式ホームページ
電車・バスで JR・西武国分寺駅から徒歩2分
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 殿ヶ谷戸庭園サービスセンター TEL:042-324-7991
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
殿ヶ谷戸庭園・カタクリ

殿ヶ谷戸庭園『春の催し』(カタクリが見頃)|国分寺市|2023

2019年2月13日
 

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